あまりに高額なら契約は無効の可能性も!?「商品の金額設定に関する法律」について弁護士に聞いてみた!

タレメreport2017年6月6日12:35 PM

2017春ドラマ「100万円の女たち」。人気ロックバンド『RADWIMPS』の野田洋次郎さん主演の深夜ドラマです。主人公と同居する5人の女性の素性が一人ずつ明らかになっていく展開など、視聴者の頭を悩ませ、そしてドキドキさせてくれる作品です。

さて、同作では主人公の家に同居する事になった女性たちは皆、主人公に対して月に100万円の家賃を支払っています。この同居のきっかけとなった「招待」が物語のもっとも根本的な謎なのですが、今回それは置いておくとして。この、家賃100万円という破格な設定、これって現実的にあり得るのでしょうか?

もちろん都内の超豪華タワーマンションなど、それ相応の価値が明確であれば良いのでしょうが、そうでない場合の金額設定は、売主側でどこまで自由に決められるものなのでしょう?あまりに法外な金額で売買が成立した場合、成立後に実は詐欺に当たるなんて事はあり得ないのでしょうか?

今回は、そんな「商品の金額設定」について、法律の観点から少し掘り下げてみたいと思います。今回、「商品の金額設定」について教えて頂いたのは、アディーレ法律事務所の岩沙好幸先生です。

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--記者
同じような商品でも、原価も違えば付加価値も違うと思います。商品の金額を決めるのは売主だと思うのですが、その金額設定に関して、法的な制約や縛りなどはあるのでしょうか?

--岩沙先生
たとえばフリーマーケットなどでは、皆さんが自由に値段を決めていますよね?まず、民法上、売値を決めるのは自由です。契約は、自由に内容を決めることができることが大原則となります。

ただ、2点注意することがあります。1点目は、あまりに高額すぎると、公序良俗つまり社会通念に著しく反しているということで、売った後で契約が無効になる可能性があります。

2点目は、その商品の売買を仕事として続ける場合に、元も取れないような安すぎる金額で売ることは、他の業者さんの仕事を妨害しているとして許されません。この場合は、独占禁止法違反などにあたる場合があるので気を付けてください。

フリーマーケットは、個人が、その日のみ売買をするということで、どのような値段設定も許されているということですね。

--記者
ただの石ころを高額で販売しているような宗教法人は、いつも問題視されます。一方でブランド認知の高いメーカーが同じ石ころを高額販売した場合はどういった扱いになるのでしょうか?もし、扱いが変わるのでれば、何をもってその差が出るのか、法的な見解を教えてください。

--岩沙先生
ブランド認知の高いメーカーが石ころを販売しても、通常は問題にならないと考えられます。これは、購入する人が、「石ころ」であることは分かったうえで、そのブランド価値それ自体にお金を出しているからです。

一方、宗教法人が石ころを販売する場合、問題になることがあります。これは、宗教法人がその石ころを「病気が治る石」「持つだけでお金が入る石」など、ありもしない効能を付加価値としていることがあるからです。

契約の内容を自由に決定できるという日本の法律の原則は、判断するための正確な情報があるという前提のもとに成り立ちます。それゆえに、販売される物に対しての正確な情報が与えられているかどうか、というところで問題となるかどうかが分かれることになります。

--記者
100万円のバッグであれば感覚的に納得しますが、100万円のほうれん草だとおかしい気がします。ほうれん草を100万円で販売する事、また、その生産過程や品質に納得した客が購入する事は特に問題はないのでしょうか?その上で、客が購入後に「やっぱり高すぎる」とクレームを入れてきた場合、販売側は法的にどういった対応を取ることになるのでしょうか?

--岩沙先生
ほうれん草に100万円という値段設定をすること、それを客が購入することは、原則として問題はありません。また、購入した場合、返品することは難しいと言えるでしょう。契約内容を自由に決定できるという原則からすると、値段を高額に設定すること自体は法律が規制するところではないからです。

もっとも、産地がどこであるかなど、購入するに際して重要な情報について嘘をついたりすると詐欺や錯誤になる可能性があります。過去の事例では、展示会場の個室において5時間もの長時間にわたって、支払えないので購入できないと述べている消費者に対して、通常の流通価格の約3倍から約5.7倍の価格の絵を、「希少価値がある」とか「社員割引にするから月々の支払い額が安くなる」などと虚偽の説明をして販売したものがあります。この事例では、総合的に商道徳を逸脱し、公序良俗違反に該当するとされました。100万円のほうれん草も、事前の説明の内容や販売方法によっては公序良俗違反になることもあり得ますね。

一方、もし後で返品されると、信用して売った売り主からすると、信頼を裏切られることになりますよね。そこで、売り主としては、返品を申し出られたときは、購入時にしっかりと情報を提供していること、それゆえ契約を取り消したりできないことを説明する必要があります。しかし、当事者での交渉はこじれることが多いので、何かあれば弁護士にご相談することが大事かと思います。

--記者
最後にもうひとつ。個人、法人、宗教法人で、商品販売に関する法的な扱いは変わりますでしょうか?また、取り扱うのが物でなく、サービスや労働だった場合、また扱いが変わってくることはあるのでしょうか?

--岩沙先生
個人と法人の違いというよりも、事業者かどうか、ということで違いがありますね。法人の場合は多くは事業者でしょうが、その販売を仕事として継続して行うならば、個人であっても事業者となります。

まず、事業者は、結託して価格を釣り上げることや、採算が取れないくらいに価格を落とすような商品販売は禁止されます。また、事業者が、消費者個人が一方的に不利益となるような契約をしても、その契約は無効となります。

次に、宗教法人も商品販売すること自体は禁止されないのですが、あくまでその宗教法人の目的の範囲内で許されています。もっとも、この目的の範囲というものが、広く認められているので、現実には宗教法人の目的に反した商品販売というものはほとんど存在していません。

最後に、取り扱いがモノであってもサービスであっても扱いは通常変わりません。ただ、サービスや労働というものは、人の行動を対象とするので、奴隷契約のような、人の尊厳を著しく傷つけるような契約は、公序良俗として無効となります。

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というワケで、今回は“商品の金額設定”について、弁護士の岩沙先生に色々とお話を伺いました。商品の売買には本当に様々な法律上の規制があるようです。これは、電話販売など、販売態様を規制する特定商取引に関する法律、事業者の販売を規制する独占禁止法や消費者契約法など、法律自体たくさんあることからも良く分かります。それゆえ、専門家の知識や経験が非常に役立つ場面といえるので、迷うことや困ったことがあれば、まず弁護士に相談しましょう。

・取材協力
岩沙好幸(いわさよしゆき)弁護士(東京弁護士会所属)
弁護士法人アディーレ法律事務所

 

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