「King&Prince株式会社」を解説

#ボーカル

エンタメNEWS2024年5月29日8:00 AM

「King&Prince株式会社」を解説

 日々話題を集めるニュースをもとに、経営コンサルタント・坂口孝則氏が背景を解説する『オリコンエンタメビズ』。今回は、23日に発表された「King&Prince株式会社」について解説。株主である永瀬廉と高橋海人(※高=はしごだか)の覚悟にを読み解く。

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■King & Prince「moooove!!」の衝撃

 先日、ラジオを聴いていると、ある曲で作業が止まりました。印象的なリズム、みずみずしいツインボーカル、スリリングなストップ&ゴー、可憐なメロディ。曲を確認して驚愕しました。King & Prince15枚目のシングル「moooove!!」だったからです。1st「シンデレラガール」からどれほど遠くに来てしまったのでしょう。MVも作り込まれており、当連載を担当してくれているオリコンの方に「キンプリの新曲、最高でしたね」とLINEしたほどでした。

 偶然とは思えないほど、King & Princeの覚悟とそして希望を感じました。歌詞は<今だけを生きていたい さあ 尖って><Moving up moving up(上昇)><「未来は僕等の手の中」>。

 引用元を紹介するのも野暮ですが、ブルーハーツの「未来は僕等の手の中」は甲本ヒロトさんが<今ここで僕等何かを始めよう>と叫ぶ名曲です。作詞・作曲はギターの真島昌利さんで、“僕等の手の中”にあるギターやマイクで世界を変えていこうという宣言にほかなりませんでした。それを引用し、King & Princeも高らかに自らの手に握ったマイクと、そして新会社で未来を切り拓こうとしたようにしか私には聞こえませんでした。

■King & Princeが選んだ道

 なぜか。

 5月23日にKing & Princeは「King&Prince株式会社」を設立したと発表しました。そしてSTARTO ENTERTAINMENTとは個人ではなく、グループ(≒コンビ)としてエージェント契約を結ぶとも発表しました。多くの芸能人の例でいえば、個人は個人として、グループはグループとして契約を結ぶのに、キンプリは違う道を選びました。

 マネジメントで全面的に委ねるか、あるいはエージェント契約で仕事の獲得以外は責任をもつか、それはアーティストの思想しだいとしかいえません。King & Princeのお二人は、ファンクラブを維持しつつ、ご自身たちが制作する作品を納得いく形で世の中に出したかったことを理由としてあげました。なるほど、その意味であれば事務所から強い意見を受けるのではなく、ご自身たちの意志を貫くためには、この形態が優れているに違いありません。

 もちろんそれはたやすい道ではなく、闘いの連続であるはずです。自らとの闘いであり、事務所に任せっぱなしにできない、という意味において。しかし、このキンプリの決断を応援したいと私は思います。

■King & Princeの覚悟

 なお、原稿執筆時点では他の誰も指摘していない内容について書いておきます。それは、キンプリのお二人が、新会社の代表取締役であり支配株主である点です。これにはちょっと説明が必要でしょう。

 というのも、芸能人が新会社を設立したというニュースで、よく「社長」に就任したと報じられる場合があります。しかし、「社長」とは会社法的には何の意味もなく、極端な話、責任も決定権もなくても(=取締役でも株主でもなくても)名乗れます。芸能人が会社を設立したと表面上は報じられても、違う誰か(=芸能事務所等のプロ)が代表取締役を担って、その芸能人は社長と名乗りながらも、実際にはお飾りである場合が少なからずあります。社長は法的に意味をもちませんが、代表取締役は法的にも会社の責任者です。そして、株主は会社の支配者で、取締役を選定し、取締役が代表取締役を決定します。

 すみません、難しかったですね。

 簡単にいいます。社長と名乗っている人であっても、なんの権限ももたない人がいます。それに対して、King & Princeは、永瀬廉さんと高橋海人さんのみが代表取締役(かつ取締役)であり、お二人のみが株主です。私はこの点に感動しました。芸能人という皮相的なレベルではなく、お二人からアーティストとしての矜持を感じたからです。そして、この形態を知るにつけ、お二人がファンに発表していた内容が嘘ではなく、むしろ決断をありのままに伝えていたとわかります。彼らは本気ですね。彼らを応援するしかありません。

 これから、キンプリのような覚悟をもち、エージェント契約で自由度を高めるグループが増えるかはわかりません。しかしキンプリはある種の道を示したように思います。その念がまさに「moooove!!」とつながっているのだとしたら。まさに『未来は僕等の手の中』というわけでしょう。

 永瀬廉さんと高橋海人さん、祈念します。

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