サンリオ新社長、キャラ可能性追求

NEWS2019年8月13日7:10 AM

サンリオピューロランドV字回復の立役者でもある小巻亜矢氏(写真/逢坂聡)

 サンリオピューロランドの運営において集客をV字回復させた手腕でも知られる同館長の小巻亜矢氏が、サンリオエンターテイメントの代表取締役社長に就任した。従来のキャラクタービジネスの概念を覆したこれまでの改革とこれから向かう未来について聞いた。

【ランキング表】昨年順位なども含めた『2019年サンリオキャラクター大賞』結果

■追い風になっているソーシャルコミュニケーション

――ピューロランドの入場者数が伸び悩んでいた2014年、顧問として就任後、2016年には女性初の館長に就任。18年度の来場者数は90年の開館以来、過去最高となる219万人を記録しました。V字回復の裏には、大人をターゲットにした戦略があったそうですね。
【小巻亜矢】スタッフ全員の努力の結果としか言いようがないのですが、松竹様との『KAWAII KABUKI ~ハローキティ一座の桃太郎~』やネルケプランニング様との『MEMORY BOYS~想い出を売る店~』など、他社とのコラボが後押しになったのは間違いないです。また、メインのファミリー層を大切にしながら、サンリオキャラクターと共に育ったF1層に向けて数々のイベントを打ち出してきました。ほかにも、閉館後のオバケンさんとの脱出ゲーム型お化け屋敷や、ハロウィーンの時期のオールナイトのクラブイベントなど、説明なしでピューロランドは子ども向けだけではないことが伝わるインパクトのあるコラボやイベントを続けていることも、集客につながっていると思います。

――SNSを活用した、F1層への独自のPRも奏功しているようですね。
【小巻亜矢】グッズ開発から館内レストランのメニュー、装飾に至るまでインスタ映えを意識し、拡散していただくことを重視しています。今はデジタルマーケティングの時代ですから、どの言葉が拡散し、どの画像が多くアップされているのかといった結果がデータですぐに返ってきます。それを反映しながら、ネガティブワードがあればすぐに改善も試みます。

――SNS上での来場者の反応を直接ご覧になることもあるのでしょうか?
【小巻亜矢】シーズンイベントを開催する際は、スタート時と開催中、終了後の3段階でデータをしっかり見ていくことを基本にしながら、その日のうちに確認できる反応もリサーチします。情報が早いのはツイッター、館内の反応がわかりやすいのはインスタです。ソーシャルコミュニケーション時代の今は、ピューロランドにとって追い風になっていることを実感しています。

――20年の五輪に向けてインバウンド需要の伸びが叫ばれるなか、海外からの集客も伸びているのでしょうか?
【小巻亜矢】全体の動員数の割合からみると、インバウンドのお客様は1割程度で推移しています。ここ数年の傾向としては、団体よりも個人でご来場いただく方が増えている状況です。顕著に変わったのは、地域の広がり。以前は圧倒的にアジアのお客様が多かったのですが、最近は欧米系の方もお見受けし、アメリカ、オーストラリア、ニュージランドあたりが増えています。本社の海外施策で、各地の旅行博にブース出展している効果が1つあると思います。アメリカに関しては、Netflixオリジナルアニメ『アグレッシブ烈子』と、ファミリードラマ『フラーハウス』の撮影地となったことなど、ネット上で話題になったことの影響が大きいと感じています。

■オリジナルIP戦略の成功事例も ピューロランドから世界へ

――さまざまな施策を練るなかで、ブランドイメージを保つことの難しさはありますか?
【小巻亜矢】メッセージを伝えることで、ブランドイメージを築いています。サンリオグループそのものがソーシャルコミュニケーションビジネスを主軸に立ち上がり、創業者の想いでもある「みんな仲良く」という共通の理念を持っています。ピューロランドの目玉である『Miracle Gift Parade』では、このメッセージをハローキティをはじめとするキャラクターたちが伝え、歌舞伎のショーでも反映されています。また、運営面では、細やかに心を込めてもてなし、みなさまが気持ちよくお帰りいただくように心がけています。コラボをさせていただいた企業の方からは、「こんなことまでやってくれるのか」と驚かれることも。包括的にみんな仲良く、バックヤードこそピューロランドらしくありたいと思っているからです。

――生誕45周年を迎えても「ハローキティ」は変わらずの人気。新たなキャラクターも次々と投入していますが、IP施策の考え方を教えてください。
【小巻亜矢】キャラクターのIP戦略は、サンリオとの連動を基本としながら、ピューロランドはリアルの場として、ブランディング、開拓、育成する役割を担っています。例えば、サンリオの掘り起こし戦略キャラクターである「けろけろけろっぴ」「タキシードサム」などは、ピューロランドでグリーティングをして露出を増やすと共に反応を見ています。「こぎみゅん」や「まるもふびより」などの新キャラクターは、ミニイベントやグッズ販売から、ファン層の分析などマーケティングを行っています。実験的に行ったピューロランド・オリジナル戦略が花開いた例もあります。ピューロランドでしか会えないキャラクターは強力なIPになると思い、打ち出したのが「ウィッシュミーメル」です。ピューロランドから全国デビュー、やがては世界展開につながっていくことで、サンリオ全体で良い結果を生み出せる施策も考えていくことが大事なことだと思っています。

――消費者ニーズをとことん探ることが小巻流キャラクタービジネスのモットーでしょうか?
【小巻亜矢】キャリアカウンセリングや心理学に長年携わってきたこともあって、エンタテインメントの華やかな部分と、癒やしの効果がある部分の両方の視点を持ちながら見ています。そういう意味で、ハローキティの役目も今、次のステージに向かっていると思うんです。誕生した当初の役割は、デザインとしての可愛さでした。つまり、モノに付加価値をつけるキャラクターとして存在し、マーチャンダイジングビジネスが進められてきました。これから先は、キャラクターそのものに付加価値をつけることで、社会に必要とされる新たな役割があるのではないかと思っています。例えば、YouTuberになってSDGsを推進するメッセージを伝えているハローキティの活動がそうです。社会的意義のある活動をキャラクターたちも積極的にやるべき時代を迎えています。平成から令和に変わり、情報システムの進化よって世界が様変わりし、格差が生まれやすい構造の社会に生きにくさを感じる方も増えています。そこにキャラクターの新たな役割があるのではないでしょうか。ピューロランドには、おひとりさまのお客様も多くいらっしゃいます。ひとりの世界を大切にすることができる空間と感じていただけることに大きな意味がありそうです。キャラクターの力はモノを売るだけではない。人の心を元気にもするということに気づかされます。これは今後のキャラクタービジネスの可能性にもなり、キャラクターたちはお客様の心に触れることのできる存在として、社会的な課題を解決していく力があると思っています。

■アーティストとのコラボによる新たな挑戦を仕掛けていく

――6月28日からはサンリオエンターテイメントの代表取締役社長に昇任し、ピューロランド館長を兼任しながらの舵取りに。館長就任当時「今日から皆さんのお母さんになります」と社員に向かって話したエピソードをお持ちですが、そのスタンスは変わらずですか?
【小巻亜矢】私は麓から社員を支えていくタイプのリーダーだと思っています。それを説明せずに、唐突に「お母さんになる」と話したときは正直、ドン引きされました(笑)。これからもサーバントリーダーシップ型で進めながら、業績を上げていくことはもちろんのこと、どのように判断し、何を実行すべきか、経営者として責任が問われていくことになります。ピューロランドに関しては屋内型ですから、動員規模に限りはあります。一方、大分県のハーモニーランドは屋外型。動員数の天井は高くも、天候等の影響を受けやすい面もあります。こうしたことを踏まえ、時代を読みながら、具体策を1つひとつ実行すべきだと思っています。また、今考えていることの1つに安全対策があります。人が集まる場所ですから、盤石な安全体制は求められるところです。そのやり方を、必ずサービスやエンタテインメントに結びつけるかたちに着地させていきたい。AIなど最新テクノロジーの導入も考えていきたいと思っています。1つのテーマパークができることは限られるかもしれませんが、エンタテインメントと社会的な存在意義の両面を追求していき、必要とされるテーマパークをめざしていきます。

――アーティストとの異色コラボ企画は、関係者からも注目されています。今後も積極的に展開されていくのでしょうか?
【小巻亜矢】もちろんです。おかげさまで多方面からアプローチをいただけるにようにもなったので、単発のステージイベントもいろいろとチャレンジしていきたいです。アーティストの方からよくおっしゃっていただけるのが、お客様との距離感が近いということ。パフォーマンスへの反応が手に取るように伝わるようです。そして、グッズがよく売れます。ヤバイTシャツ屋さんとの「みんなのたあ坊」「シナモロール」らのコラボグッズはあっという間に完売となり、たくさんのファンの方から感謝のツイートをいただきました。こうした反響は、物販やステージ設営のノウハウを積み上げてきた結果と分析しています。このノウハウもやがては1つのビジネスモデルになるかもしれません。ピューロランドは来年12月に30周年を迎えますが、お客様によろこばれて、アーティストの方にとってもここでやることのメリットがある企画をこれからもどんどん仕掛けていきます。
(文/長谷川朋子)

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