小芝風花、真面目を貫いて輝く個性

NEWS2019年2月8日8:00 AM

『トクサツガガガ』(C)NHK

 良質な作品を生み続けるNHKドラマ10(金曜22:00~)の『トクサツガガガ』で、連ドラに初主演している小芝風花。同ドラマはオリコンのドラマ満足度調査「ドラマバリュー」で、初回56Ptから第2話で79Pt(100Pt満点)へと急上昇。今期ドラマのなかでも高い支持を集めている。これまで多くのドラマや映画に出演しつつも、優等生的なキャラクターゆえ飛び抜けた存在感は示せず、トップ女優にまで至ってなかった小芝。だが、演技にコミカルな味付けも加わって、役に真摯に取り組む姿勢が実を結びつつある。

【写真】『トクサツガガガ』試写会にドレス姿で登場した小芝風花

■いまひとつブレイクへの波に乗れなかったデビュー初期

 大阪出身で現在21歳の小芝は、中学生だった2011年、武井咲の妹キャラクターを選ぶ「ガールズオーディション」でグランプリを獲得。『息もできない夏』(フジテレビ系)で女優デビューし、2013年にはスタジオジブリのアニメで知られる『魔女の宅急便』の実写映画版で主人公のキキを演じた。

 しかし、映画は興収5億円に届かず、話題性のわりに不振に終わる。その後に出演したドラマも視聴率がふるわなかったりと、清楚な佇まいや愛らしいルックスも持ち合わせながら、いまひとつブレイクへの波に乗れなかった。

 彼女の人柄はとにかく真面目。小さい頃から母親に電車内や食事などのマナーを厳しく躾けられたそうで、学生時代は「校則で制服のスカートを折ったらいけなくて、実際には先生もそこまで見てなくても、折るのは罪悪感がありました」という。

 芸能界に入る前はフィギュアスケートに打ち込んでいてストイックさも持ち、演技でも事前に練習を重ね、出来上がった作品を観ては「全然ダメだ」と反省していたそう。「真面目すぎて損と言われますけど、満足したらそれまで。この性格で良かったと思います」と話していたこともあった。

■平均点は高いが突出してない優等生タイプ

 そんな努力家のうえ、朗らかで人当たりも良く、スタッフや関係者の好感度は高い。反面、与えられる役も真面目なキャラクターが多く、19歳の頃に生徒役でなく先生役が続いたりもした。ストーリー上は目につく行動が少なく、あまり印象に残らない結果になりがちだった。

 芸能界では演技、ルックス、個性といったスペックの平均点よりも、最高点が重要。すべてが70点より、平均は50点でも何かひとつが120点といったタイプのほうが脚光を浴びやすい。新人募集に際し「不良を歓迎する」と広言する大手事務所の幹部もいた。その点で言えば、小芝は平均点は高いが突出してない優等生タイプだった。

 2016年にはNHK朝ドラ『あさが来た』に、波瑠が演じたヒロイン・白岡あさの娘の千代役で出演。『あまちゃん』の有村架純らのように、朝ドラの脇役からブレイクする大チャンスだった。実際に認知度は高まったが、『あさが来た』から飛躍したのは、千代の友人・田村宜役の吉岡里帆だった。

 劇中で千代は仕事に忙しい母親に反発し、良妻賢母の伯母を慕う、やはり真面目な役。宜のほうはメガネをかけて自分を“ボク”と言い、あさを尊敬して押しかけるように秘書見習いになるという起伏に富んだ役で、千代より少ない出番ながらインパクトを残した。小芝と吉岡自身を比べても、万人受けする小芝に対し、吉岡は女性受けは良くないとされながらも男性の支持は圧倒的で、やはり突出タイプが先んじた形だ。

■出演が多いNHKドラマ 真面目さをベースにしつつ役幅を広げる

 そんななか、小芝のひとつの転機になったのが、2017年の『マッサージ探偵ジョー』(テレビ東京系)だ。初のコメディで、主人公のマッサージ師(中丸雄一)を事件に巻き込む天真爛漫な新人従業員を演じて、振り切った顔芸を毎回見せた。本人は「最初は恥ずかしさもあった」と話しつつ、「友だちには『いつもの風花やん』と言われて『私、こんなアホなん?』と思いました(笑)」と根にある関西人らしさをのぞかせた。

 また、NHKドラマ10枠で昨年放送された『女子的生活』では、強気で毒を吐くセレクトショップ店員役で、トランスジェンダーで女装した主人公(志尊淳)とのベッドシーンも。NHKのドラマの出演が多く、真面目さをベースにしつつ、役幅を広げている。

 そして、連ドラで初めて主演に抜擢されたのも、NHKの『トクサツガガガ』。このドラマ10枠ではこれまで、産婦人科の感動だけでない現実を描いて文化庁芸術祭で大賞を受賞した『透明なゆりかご』や、名人落語家の親友と恋人を亡くしながら芸に身を投じた生涯を追った『昭和元禄落語心中』など、視聴率はともかく、良心的で質の高い作品が続き評価されている。

■真面目を貫けばそれ自体が強い個性になり得ること示す

『トクサツガガガ』では隠れ特撮オタクの商社OL・仲村叶を小芝が演じ、特撮好きがバレかかるのを必死に取り繕うドタバタもありつつ、自分の好きなものを隠さないといけないもどかしさや、それでも「好きなものは好き」と曲げない気持ちは、オタクならずとも共感を呼ぶ。

 叶が職場では清楚で女子力が高いと思われているのは小芝のイメージのまま。その裏で、ヒーローのグッズに目を輝かせたりする姿にはリアルな特撮愛を感じ、脳内で妄想を繰り広げたり「変なロボ」といった周りの声に一喜一憂して漫画チックな表情を見せるのがおかしかったりもする。だが、叶もやはり根は真面目で、電車でお年寄りに席を譲ろうとヒーローの台詞を思い浮かべて奮い立ったりも。“女の子らしさ”を押し付ける特撮嫌いの母親に対して自己主張できない葛藤は、後半のカギになるようだ。

 優等生タイプの小芝にハマる役で、“良い子”ゆえ母親や世間の目を気にしてしまうところは彼女ならではの演技に見える。デビューから7年。真面目ゆえに突き抜けないのは不利になる芸能界だが、逆に真面目も貫けば、それ自体が強い個性になり得ると、今の小芝からは感じる。

 そこにコミカルな要素も加わって当たり役の『トクサツガガガ』は、彼女の代表作となりそうだ。デビュー以来、地道に積み上げてきた演技力はあるだけに、まさにドラマ10のテイスト同様、良心的かつ観る者に感動を与える女優として、静かなブレイクが期待される。
(文/斉藤貴志)

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