武尊、誹謗中傷に「追い込まれた」

エンタメNEWS2024年5月15日7:00 AM

自著『ユメノチカラ』を発売した武尊

 「K-1 WORLD GP3階級制覇」、「10年間無敗」世界の格闘技界にその名を轟かせた武尊が、紆余曲折の半生を語った『ユメノチカラ』(徳間書店刊)。武尊は同書で「心折れそうなとき、道を逸れてしまいそうになったとき、自分を支えてくれたのは『夢』の力だった」、「幼いころに誓った『K-1のチャンピオンになる』『格闘技で成功する』その夢を持ち続けたから、今がある」、「格闘技には、人の心を動かし人生まで変えてしまうとてつもないパワーがあると僕は信じている」などと語る。リアルな心境がつづられた同書から、SNSの誹謗中傷について触れたエピソードを、一部抜粋して紹介する。

【動画】武尊、試合後のリングで号泣…「僕ができる限界はここまでです」

■SNSの誹謗中傷と向き合って

 「バズって有名になる」ために過熱するSNS。個人に対する誹謗中傷はあとを絶たないが、武尊はSNSの誹謗中傷に対して、一貫して警鐘を鳴らしてきた。特に、プロレスラーの木村花さんがSNSでの誹謗中傷が引き金となって亡くなった時は、「本名を登録しないとできないような仕組みが必要」と投稿し、大きな反響を呼んだ。

 少しでもK-1のプロモーションをしたくて、ツイッター(現X)、インスタグラム、Amebaブログなど、あらゆるSNSを試して、積極的に発信してきた。

 プロデビューした当初、僕はみんなに応援される選手、もっと言えば「アンチが一人もいない選手」になりたかった。

 だから、最初はSNSでのリプライやDMは全部読んで、「観客の声」として受け入れて、それぞれへの対応を考えていくつもりだった。

 でも、Krushでプロデビューして、少し名前が売れてきたころ、ツイッターでエゴサーチをしたら、僕について書かれたものをいくつか見つけた。

 〈なんだあいつ、試合態度悪いな。早く負けろ〉
 〈ムカつく、生意気、あいつはチャンピオンになれない〉

 こんな感じのものだった。

 最初は、ちょっとうれしかったところもあった。見ず知らずのお客さんからはこんなふうに見られているんだ、じゃあ、どうやっていこうかな、とも考えた。

 ちょっとずつ試合のスタイルを自分なりにアレンジしていったり、「みんなに好かれるような外見」に近づけていこうと思った。

 新生K-1の55キロのベルトを獲り、初めてK-1チャンピオンになってからは赤い髪をやめて、ふだんからピアスを着けるのはやめた。

 「K-1という格闘技を、もっと子供とかお年寄りにも見てもらえるメジャースポーツにしないと」という気持ちで、外見を変えよう、と思った。言葉とか立ち居振る舞いとかで、どうやったらたくさんの人に興味を持ってもらえて、格闘技がいい方向に広まるかを考えて、ふだんの生活、SNS、メディア活動で気をつけていった。

 でも、それもだんだんきつくなってきた。

 どれだけSNSからの意見を聞いて、「こう言われるんだったらこうしなきゃ」と変えても、全員から肯定されるわけじゃなくて、必ず何か否定的なことを言われて叩かれる。

 発信する言葉もめちゃくちゃ気にするようになってきて、一つの投稿をするのに1〜2時間かかったこともある。特に、K-1チャンピオンになってからは、周りの人からいろいろと言われるようになってきた。ファンの人からだけじゃなくて関係者からも、ストレートな言葉を浴びせられるようになった。

 そうした言葉の一つ一つが気になってしまう。すると、自分のやりたいことがどんどんできなくなって、個性とかも出せなくなって、メンタルはどんどん追い込まれていった。

 みんなの要望に応えてきたつもりだったけど、なぜこんなに否定的なことを言われなきゃいけないんだ……?

 SNSでは「強い言葉、強い言い方」をするほど目立つ。たくさんあるコメントの中の何百、何千分の一にすぎない2、3の投稿が、やけにでっかく見えてしまう。

 この手の言葉って、いちいち読むべきじゃない。でも、K-1で3階級制覇をする前ぐらいまでは、「これもファンの声だ」と思って、リプライ欄は全部読んでしまっていたのがよくなかった。

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