猫の殺処分は本当に減った?

#ボランティア#殺処分

エンタメNEWS2022年1月3日9:30 AM

愛媛出張オペで処置された子猫(写真:ねこけんブログより)

 動物愛護と管理に関する法律が改正され、犬猫の殺処分数は大きく減少しているといわれる。だが、そんな中でも「殺処分数ワースト3位以内をいったりきたり」という状態なのが愛媛県だ。愛媛の猫を救うため、NPO法人『ねこけん』の医療チームが現地に出張し、野良猫の不妊・去勢手術を行った。その背景には、地方のある問題が隠されているという。代表理事・溝上奈緒子氏に、現状を聞いた。

【写真】「助けたい!」出張オペで救われた猫たち&愛媛からやってきた“みかん猫”

■獣医師会で決められる手術費用、「少しでも値段を下げるため」東京から愛媛へ飛んだ

 近年、愛媛県は犬猫の殺処分数が常にワースト3位以内に位置し、多いときには2,000頭前後の猫が殺処分された年もあった。そんな現状を憂う同県のボランティア団体、個人で活動している愛猫家は多い。愛媛に限らず、地方ではそのような自治体も多いそうだ。一体なぜなのか。

 殺処分される猫を減らすためには、まずは飼い主のいない、いわゆる野良猫の数を増やさないことが不可欠だ。そのために、多くの保護団体がTNR活動(捕獲し、不妊・去勢手術を行い、元の場所に戻す)を行っている。殺処分数が多い地域では、この不妊・去勢手術に問題があるという。

 「手術費用は、多くが地域の獣医師会の間で決められていて、地方だと東京の数倍の費用がかかることが多い」と、溝上氏は明かす。猫を増やさないために必須の不妊・去勢手術が高額となると、多くの猫を処置しようとしても、ボランティアや個人ではすべての費用をまかなえるわけがない。地域で手術ができないのであれば、どうすればいいのか。愛媛県のボランティアの悩みに応え、『ねこけん』は獣医師たちによる出張オペ軍団を引き連れ、現地へと飛んだのである。

 獣医師や必要機材など、すべての準備を1ヵ月で整え、『ねこけん動物病院』を2日間にわたり開院。会場には多くの人と猫が集まった。中には100頭の多頭飼育崩壊から保護された猫もいたという。

 「今回、私たちが出張オペをした一番の目的は、不妊・去勢手術の値段を下げること。普通に考えれば、東京からわざわざ陸路で機材を持ち込み、医師団が飛行機で出張するなんて、非効率じゃないですか。ですが、交通費や経費を考えて手術代を決めても、愛媛県の一般の不妊・去勢手術代より安く済むんです。我々が安い金額で手術を請け負うことで、愛媛県の手術代が少しでも下がればいいと思って出張しました」。

 先日、熊本市動物愛護センターの職員が立ち上がり、犬猫の殺処分ゼロを目指して譲渡を募るなどの取り組みが行われ、注目を集めた。だが、こうした事例は稀であり、愛媛県に限らず多くの地域でいまだ殺処分は行われ、それを減らす大事な手段である不妊・去勢手術代は高額だ。

 本当はすべての猫を手術してあげたい、ワクチンも打ってあげたい、保護もしてあげたい、安全で安心な生活を送らせてあげたい。それが、動物を愛するすべての人たちの願いだろう。それぞれ事情はあるのだろうが、現地の病院がもう少し協力的になってくれれば、何かが変わる。ほんのわずかな助けの手があれば、生まれた途端に処分される命を減らすことができる。殺処分される猫の多くは、生まれたばかりの子猫であることが多いのだ。

 愛媛県で開院した「ねこけん動物病院」には、現地の獣医師も見学に訪れ、寄付をした先生もいるという。猫たちを「殺したくない、救いたい」という気持ちは、誰だって一緒なのだ。また、この出張オペを行ったことで、新たに地元ボランティアの横の繋がりができたのも、うれしい結果である。

■法改正により可能になった“引き取り拒否”、「問題は何も解決していない」

 年々、犬猫の殺処分は減少していると発表されるが、「そこにはからくりがある」と溝上氏は指摘する。動物愛護と管理に関する法律が改正されたことにより、愛護センターが安易な引き取りの申し出を拒否できるようになったことが、ひとつの要因だ。

 「病気やケガをしている猫は、殺処分の数にカウントされません。一度でも“シャー”と威嚇したりして、人に懐いていないと見なされた猫もカウントされません。センターによる引き取り拒否もできるようになったため、殺処分が減少したといっても、その数は鵜呑みにはできないんです。引き取りを拒否された猫は、一体どうなるのか…問題は何も解決していない。その分、ボランティア団体が猫を引き取り、里親を探し、行政の代わりに活動をしているのが実情なんです」。

 10月に続き、12月にも再び愛媛に出張し、「ねこけん動物病院」を開院した。その裏にある思いや行動が、愛媛県や、そのほかの地域の獣医師、動物愛護に関わる人たちにも伝わってほしい。本当の意味で猫を、犬を、動物たちの命を助けるには何をすべきなのか。「助けたい」と奮闘する人たちの思いが広く伝わり、少しでも早く何かが変わることを願う。

(文:今 泉)

#ボランティア#殺処分

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