発見されにくい「女児のADHD」

エンタメNEWS2024年2月9日8:40 AM

なぜ未就学女児のADHDは選定しづらいの?

 最近よく目にする「大人女性のADHD」という言葉。以前は男性に多いと考えられてきたADHD(注意欠如・多動性障害)だが、女性はただ単に見過ごされてきただけではないかという見方も出てきているという。しかし、二次障害を防ぐには早期発見が大事だと話す医師も。なぜ未就学女児のADHDは選定しづらいのか、そして発見するためのサインはないのか。児童精神科医の大和行男先生に聞いた。

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■「女の子らしく」を是とする日本、女児のADHD診断を恥ずかしいと思う親が多い?

 子どものADHDの3大兆候は「多動性・衝動性・不注意」。この3つのうち、大人は「多動性・衝動性」がほぼ消え、「不注意」の問題だけが残ることがある。大人と子どものADHDの特徴の大きな違いはここにある。

「脳の成長によって多動性・衝動性が緩和される面と、社会人になっていろいろな世代の方と関わる、顧客対応や仕事内容が変わるといった環境因子も、不注意とされる症状が大人のADHDの中核であることに寄与していると考えられます」(児童精神科医・大和行男先生/以下同)

 ADHDの最初期に挙げられる「多動性のために席に座っていられない」「衝動性のために言葉よりも先に手を出してしまう」などの特徴は、未就学児(保育園や幼稚園の高学年)から、小学校入学後の男児に多く見られるため、早期発見という点でも「ADHDは男性に多い」と考えられてきた。大和先生も「日本では男の子は男らしく、女の子は女らしくという概念が強いので、女の子だとあまり受診させたくない空気があるかもしれません」と語る。

 症状として、多動性や衝動性、不注意といった印象が世間一般に少なからずあり、“女の子らしい”というイメージからかけ離れてしまうことで、世間体などに対する恥ずかしさから受診のタイミングを逃してしまう、ということもあるのかもしれない。

 我が子がADHDかもしれないと疑い、クリニックを受診するようになるきっかけは、男児の場合は「じっとしていられない」「ほかの子をケガさせた」など、教員から親に連絡が来たことが契機となるケースが多いという。

「女児の場合も『集中力が続かずに離席してしまう』という主訴での受診が多いのですが、こちらは親自身が困って受診している印象です」

■女児の症状はわかりにくい、二次障害を避けるためには10歳までの判断がベスト

 多様性が叫ばれる今だが、子育てしている中で「女の子らしく」「男の子らしく」という言葉を使った経験はないだろうか。そういった固定観念の名残が、ADHDの早期発見の妨げになっている場合もあるのかもしれない。

 男児に見られる多動性や衝動性に比べると、女児は不注意や忘れっぽさ、集中力が続かないなどの一見わかりにくい症状が多いため、親や教師、医師などが注意を向けにくいという一面もある。

 さらに、思春期になるとホルモンなどの影響でさらにADHDの症状がわかりづらくなる。そのため、「二次障害を防ぐには早期発見が大事」という医者もいる。第二次反抗期に入ると、自我の葛藤や同世代のグループ形成とその中でのトラブルなどが出現するため、ただの反抗期なのか、何かベースの疾患があってのトラブルなのかがわかりにくくなるそうだ。これこそがADHDの二次障害だと考えられる。

「特に女の子は10歳くらいになるとかなり前頭葉が発達しまう。周りから『あの子は何か変だ』などと言われることも出てくるため、早期発見が必要です。やはり未就学児で見分けるのはなかなか難しいものです。でも、専門家が見れば、ベースにADHDや発達障害があるかは判断できるので、出遅れたとしても大丈夫です」

■成績オール1の高校生がオール5へ ADHDの治療には即効性がある

 大和先生のもとに来る患者さんは、小学校低学年であれば、本人はあまり困っていないが、周りの大人や同級生が多動性や衝動性の被害に遭う形での相談が多いという。

「学年が上がることで授業内容も難しくなり、『クラスメイトと自分は何か違う』『自分ばかりが先生や親に叱られる』と自己肯定感の低下が目立つようになります。最終的に『自分はダメなんだ』と結論づけてしまう小学校高学年や中学生は非常に多いです」

 大人になってからADHDと診断されると戸惑う人もいるだろうが、子どもの場合は適切な診断と生活指導や服薬を行なえば、周りの生徒たちと遜色ない思春期を過ごせることが多いという。

 子どもがADHDかもしれないと気になった場合には、『ADHD-RS』という簡易の評価スケールもある。

「これは子どもが過ごす2ヵ所以上の生活場面で評価するもので、自宅では母親、学校では担任の先生にスコアをつけてもらい、それがスクールカウンセラーや小児科医・児童精神科医に相談する材料となります」

 子どものADHDの治療に関しては、6歳未満の場合は薬物治療の適応外となる。心理的アセスメントや行動評価をまず実施し、知的な遅れや偏りがないかを除外し、社会性や不得意分野克服のためのトレーニングや作業療法を行なう。加えて、心理士よりペアレントトレーニングも実施される。

「ADHDは何歳からでも診断可能で治療にも即効性がある」と大和先生は力説する。実際に先生の患者さんで、1年間全科目オール1だった高校2年生の女の子が、薬物治療と生活指導を受けたところ、高校3年生の1学期には全科目オール5になり、最終的に推薦で大学に合格したという例もあるそうだ。

「ADHDの薬は一生飲み続ける必要があるわけではありませんので、ぜひ医師とご相談ください。これからの人生をより良いものにしていきましょう」と大和先生は力強く語っている。

〇監修者プロフィール
大和行男(医師・教員免許あり)
池上おひさまクリニック院長。メインは児童精神科、思春期美容皮膚科。地域の赤ひげクリニックを目指して、精神科・内科・小児科・皮膚科全ての診療科を予約なしで当日診療している。女性中心にアートメイク、医療脱毛を含めた美容皮膚科施術を行なっている。

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