ドラマ制作から冒険が消えた!?年代別に時代背景とヒットドラマの変遷を比べてみた!

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タレメREPORT2015年3月10日5:42 PM

2015年の冬ドラマも終盤に差し掛かり、ストーリーも佳境に入って目が離せない日々が続いています。3月上旬現在の平均視聴率は17.8%の『相棒13』が1位、14.3%で2位が『DOCTORS 3』。そして『○○妻』『銭の戦争』『デート』『ウロボロス』『流星ワゴン』『問題のあるレストラン』と続きます。

現代ドラマは平均年齢の高さが特徴

長寿番組の『相棒』の水谷豊さんは62歳。『DOCTORS』の沢村一樹さんが47歳、『○○妻』の東山紀之さんが48歳、『銭の戦争』の草なぎ剛さんは40歳、『デート』の長谷川博己さんが38歳、『ウロボロス』の生田斗真さんは30歳、小栗旬さんは32歳、『流星ワゴン』の西島秀俊さんは43歳です。『問題のあるレストラン』の東出昌大さんが27歳と少々若めですが、大多数が40代です。

女性陣は、アラサー・アラフォーがメイン。鈴木杏樹さん、柴咲コウさん、広末涼子さん、井川遥さん、真木よう子さん。若い女優さんでも大島優子さん、木村文乃さん、杏さん、上野樹里さんなど、20代後半です。以前はもっと若い女優さんや俳優さんが主演したドラマが人気でした。一体ドラマ界にどんな変化があったのでしょうか?

俳優に学歴は必要か?人気俳優の魅力と学歴の相関性を世代別に比べてみた!

1950年、1960年代

戦後の高度経済成長期、『私は貝になりたい』などの戦後をテーマにしたものや、創生期のテレビ業界を舞台にした『マンモスパワー』、『時間ですよ』、『若者たち』など、家庭をテーマにしたもの、『キーハンター』などのアクションものが人気でした。主人公はラジオドラマで活躍した野際陽子さん、田中邦衛さんなど当時30前後の俳優さんが主演を務めました。

一人だけが主人公というドラマよりも群衆ドラマが多く、主演こそ30代ですが幅広い年代の方をターゲットにしていました。また、子ども向けの『チャコちゃん・ケンちゃん』シリーズなど、ターゲットを絞った作品など幅広いドラマがありました。テレビ制作という現場に勢いがあり、社会派からコメディまでさまざまなドラマが生まれる環境があったといえます。

■1970年代

団塊の世代が青春を謳歌していた1970年代、当然のようにその年代が主人公のドラマが人気となりました。引き続き、『時間ですよ』『ありがとう』などの家族ものは人気でしたが、メインが当時25歳の水前寺清子さんなど60年代より若年です。

また、この年代の特徴として『俺は男だ』『傷だらけの天使』『パパと呼ばないで』『探偵物語』『3年B組金八先生』など、大学を卒業したばかりの20代の男性がメイン、10代~20代前半の女性がヒロインを務める青春ドラマアウトローなアクションものが人気でした。当時大学進学率は15%程度と低く、また女性の進学への偏見も強かったため、漠然とした都会や学生生活へのあこがれが反映されていたのかもしれません。

■1980年代

しらけ世代とも呼ばれる1960年代生まれが青春を迎えた1980年代。一気に家族ものドラマが減り、『金八先生2』『熱中時代2』『江戸を斬る5』など、人気作の続編がトップ3に。団塊の世代がそのまま続編を見ている、という状況だったようです。

60年代生まれは、中卒・大卒者は「金の卵」として就職し仕事に忙しく、大学生は個人主義で無気力、ドラマ『ふぞろいの林檎たち』で表現されている若者のように「一生懸命カッコワルイ」と、少しスカした方が悪カッコイイという空気になっていました。中井貴一さん主演の『ふぞろいの林檎たち』は同世代の若者たちの共感を呼びましたが、基本的に「大衆的なもの」が好まれず、「人が知らない新しいもの」「洋楽」「ブランド」などが人気だったため、ドラマをあまり見なかったようです。

一方で、『スチュワーデス物語』『ヤヌスの鏡』『不良少女と呼ばれて』『毎度お騒がせします!』など、10代に向けた作品が人気を呼んだのもこの時代。主演俳優も堀ちえみさんや中山美穂さんなど10代半ばがメインとなりました。

■1990年代

バブルからバブル後の90年代。前半は月9に代表されるトレンディードラマ最盛期でした。『すてきな片思い』『世界で一番キミが好き!』『気持ちいい恋したい!』『東京ラブストーリー』など、「恋とオシャレ」が大きなテーマといえます。1980年代後半ドラマの主なユーザーや出演者と年代も同じ、当時20代前半の吉田栄作さん、安田成美さん、織田裕二さん、田中美奈子さん、江口洋介さん、小泉今日子さんなどが多く出演していましたね。

そしてバブルがはじけてからは、『高校教師』『じゃじゃ馬ならし』『家なき子』『人間失格』『未成年』『金田一少年の事件簿』など、ティーンが主演のドラマが台頭しました。バブルがはじけ、ドラマのターゲットがバブル世代から、比較的時間がある10代へと世代交代したのです。

当時出演していた観月ありささん、安達祐実さん、堂本光一さん、堂本剛さん、加藤あいさん、香取慎吾さん、反町隆史さんなどは、軒並み30代になっても活躍している俳優さんです。バブル時代の俳優さんも、地道にドラマや映画などに挑戦し、現在も主演級の方々が多くいます。90年代に台頭した俳優さんは、バブルも手伝い出演作が非常に多いこともありますが、息が長い方が多いのもひとつの特徴といえます。

■2000年代~

バブルがはじけて十分に底だと思われていましたが、リーマンショックが経済を襲い、さらなる不況が訪れます。テレビ業界は冒険を避け、ドラマは実力派俳優・実力派スタッフで固めた作品が増えました。2000年代の年間トップ視聴率獲得ドラマは『HERO』『GOOD LUCK!!』『change』『ビューティフルライフ』『空から降る一億の星』『プライド』『華麗なる一族』と10本中、7本が木村拓哉さん主演の作品です。

2010年代になると『家政婦のミタ』『ドクターx』『半沢直樹』『HERO2』などが一位を獲得します。松嶋菜々子さん、米倉涼子さん、堺雅人さんなど、どの作品も1990年代からドラマに出演されていた俳優さんが主演。木村拓哉さんばかりという状況ではなくなりましたが、まだまだ主演級は90年代俳優さんの安定した人気に頼っているのが事実です。逆をいえば、長くドラマの主演級を担っている方々ばかりなので、われわれ視聴者は安心して見ることができるという利点もありました。

2015年度も、安定した実力派俳優さんの主演ドラマがめじろ押しです。しかし今回、土曜日9時の学生ドラマ枠が大冒険をしてくれました。なんと、16歳の広瀬すずさんが主演。作品のヒットいかんによってはドラマ界の大きな世代交代が起こるかもしれません。これからのドラマ展開が非常に楽しみです。

文/藤原ゆうこ

 

 

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