ハロプロの“至宝” 宮本佳林が初のソロライブで見せたエンターティナーぶり

ハロー!プロジェクトの8人組アイドルグループ・Juice=Juiceの中心メンバー・宮本佳林さんが、先月ソロライブツアーを開催。

Juice=Juiceとは一味違うステージを見せ、評価を高めました。

ハロプロメンバーの中でも特に高いポテンシャルを認められてきた彼女のこれまでの歩みや魅力を紹介するとともに、今後への期待を記します。

■人気、実力ともにJuice=Juiceの中心でいながら独自で音楽の探究も

宮本さんは2008年にハロプロ研修生のメンバーとなりました。

加入直後から、ハロプロファン、アイドルファンの間では“アイドル界の至宝”と言われ、デビューを待ち望む声が上がっていました。

ですが、その後、モーニング娘。9期〜11期メンバーオーディションやスマイレージ(現アンジュルム)2期メンバーオーディションに参加したものの、不合格になり、後輩に先を越されるという辛い経験もしています。

 

ただ、今思えば、それは宮本さんの力不足だったということではなく、スタッフ間で宮本さんのデビューの方法を試行錯誤した結果、モー娘。やスマイレージの一員としてではなく、彼女を中心としたグループを結成するという話の流れになったのではと推測します。

もちろん、その当時のモーニング娘。やスマイレージのメンバー構成のバランスを最優先され、そこに宮本さんがはまらなかったこともあると思うのですが。

 

そして満を持して、2013年に結成されたJuice=Juiceのメンバーに。

結成から約半年後の同年9月に『ロマンスの途中』でメジャーデビューしました。宮本さんは当初から、人気、実力ともグループの中心メンバーとしてグループを牽引してきました。

2016年には、念願の日本武道館公演を開催、大成功をおさめ、その後も毎年武道館公演を開催、そして今年12月には代々木第一体育館でワンマンライブを行います。

 

グループ活動の裏で、個人で音楽的に探究を続けているという宮本さん。自分で作曲活動も行う彼女は、普段からいろんな曲を聴いてコードの研究をしたりしていると、インタビューで話してくれたこともありました。

 

松田聖子さんが大好きでリスペクトしており、ほかにも平井堅さん、川本真琴さんといった80年代、90年代アーティストを好むという志向も彼女の特徴です。

また曲作りにあたってギターも愛用しているとのことです。

 

そういえば宮本さんの歌の特徴で、歌詞の語尾の高音部分で声がひっくり返りそうになるような微妙なバランスを見せる機会が多々あるのですが、その歌声は松田聖子さんをほうふつとさせます。

 

■エンターティナーぶりをフルで見せたソロライブ 新曲7曲で未来が楽しみに

 

今月東京、大阪、愛知で行われた宮本さんのソロライブツアー『Karing』。

Juice=Juiceの楽曲を一人で歌ったほか、なんとこのライブにあたり新曲を一挙に7曲発表。また宮本さんのこれまでの歩みを振り返る企画コーナー内で、リスペクトする松田聖子さんの楽曲もカバーしました。

さらにJuice=Juice結成前に発表された“コピンク”名義の楽曲や、2014年の主演舞台、演劇女子部「ミュージカル 恋するハローキティ」の楽曲まで、彼女の現在の歌の引き出しの中をほぼすべて見せるような内容となりました。

 

「手が震えてる」と言いつつ、でも「全然緊張してないんですよ」と話していた宮本さんは、約2時間のステージを堂々と務め、小柄な彼女がとても大きく見えました。

 

もともと広く知られた彼女のアイドル性全開の楽曲のほか、Juice=Juiceライブでは見せないような曲調、歌い方も聴かせてくれました。ときには「あの宮本さんがこういう声も出すんだ」と思わせる太い声も。

 

Juice=Juiceの初期の楽曲も今の彼女だから歌えるボーカルで披露、少女の思いを描いた歌詞を大人っぽく、艶っぽさすら感じさせられる声で表現し、オリジナルとはまた違った趣も見せました。時折見せる大人びた表情にも成長を感じさせられました。

 

そんな、表情の豊かさも宮本さんのパフォーマンスの大きな特徴で、可愛い曲からせつない曲まで、表情豊かに歌詞の世界を表現、コロコロと変わるその表情を大スクリーンでうかがうのもファンにとってJuice=Juiceのライブの愉しみの一つとなっています。

 

またソロライブでは、ダンサーを従えカッコいいダンスパフォーマンスも披露してくれました。ダンスの上手さを褒めると、いつも「私は単に長くやってるだけ」と謙遜する彼女ですが、非凡な才能を感じさせられるパフォーマンスでした。

 

新曲も多彩で、恋する思いをしっとりと歌う楽曲もあれば、メッセージが力強く伝わる楽曲、大人びた雰囲気を見せる楽曲なども。この新曲の多さを見るに、今回のライブツアーが単なる単発企画ということではなく、将来の本格的なソロ展開も見据えた、その第一歩となるライブとなったのではと感じました。

さっそくその中の一曲『どうして僕らにはやる気がないのか』が配信リリースされました。

 

宮本さんが持つ幅広いエンタテインメント性をフルに発揮したライブとなりましたが、彼女が探究している音楽の全てが出ていたわけではなく、自作曲の披露や、ギターなど楽器の弾き語りのパフォーマンスなどは次回以降に期待したいところです。

 

ライブの最後に「未熟者なのでもっともっと成長していきたいと思いますし、その過程を見守っていただければ。いい意味で期待を裏切れるように頑張っていきたい」と抱負を語った宮本さん。インタビューで、ときどき突飛な発想を聞かせてくれることもありますが、そんな、世間の宮本佳林のイメージとはかけ離れた展開も楽しみであります。

 

■グループの先輩メンバーとして、そしてその先への期待

 

Juice=Juiceは結成6年から経て、金澤朋子さんが2代目リーダーに、一つ年上の高木紗友希さんがサブリーダーに就任したり、その一方で後輩メンバーも続々と加入、時代の流れとともにグループの形が変化しています。

 

グループの絶対的エースとして、またパフォーマンス面でも高木さんとの2トップで支えていくことは引き続き求められることになると思いますが、いつかグループを卒業する日がやってくるかもしれません。

 

今回のソロライブを目にして、今後の宮本さんのソロ活動にも期待したくなります。今回新曲7曲を通して披露された多彩な表現力を発揮してくれることがとても楽しみです。

 

最近のハロプロ卒業生のソロアーティストといえば、まず思い浮かぶのは、℃-uteの中心メンバーから現在はソロで活躍している鈴木愛理さんの存在です。

すでにアイドルファン、ハロプロファンの間では大人気の宮本さん。鈴木さんが雑誌モデルにも進出したことでアイドル好きではない女性ファンにも人気を広げたように、現在のファン層から出たところにも支持者を広げるような試みは、もしもソロ活動の展開も視野に入れているとすれば、追い風になるのではと思います。

たとえば、美食家で、ボディメイクにもストイックに取り組んでいる彼女。そういった面は幅広く女性に支持されるのではと思います。

 

7年前、研修生時代に筆者が行ったインタビューで、将来の夢について「『グラミー賞』を取ること!」と語ってくれた彼女。「すごく大きな夢ですけど、それに向かって、英語の歌も歌えるように頑張りたいと思います」。そして「いつかは本格的にソロ歌手としてやっていきたい?」との問いには「はい。やる以上は精一杯やりたいです!」(2012年6月、webデビュー)と語ってくれました。

昨年のインタビュー時にその頃のことを問うと、すっかり忘れていたようでしたが、それを改めて大きな目標として頑張ってもらいたいと、個人的には思います。

文/田中裕幸

 

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