デル・トロ監督、7年ぶり来日

#ジェイコブ

エンタメNEWS2025年9月25日9:43 AM

Netflix映画『フランケンシュタイン』ジャパンプレミア上映会に登壇したギレルモ・デル・トロ監督とゲームクリエイターの小島秀夫氏

 日本の特撮・アニメへの愛が詰まったSF大作『パシフィック・リム』(2013年)や、第90回アカデミー賞で作品賞など4部門を受賞した『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017年)で知られるギレルモ・デル・トロ監督が、Netflix新作映画『フランケンシュタイン』を携え、約7年8ヶ月ぶりに公式来日。24日、都内の劇場で行われたジャパンプレミア上映会に登壇し、監督と親交の深いゲームクリエイター・小島秀夫氏もスペシャルゲストとして登場。ものづくりに携わる者同士ならではのトークを繰り広げた。

【動画】『フランケンシュタイン』ティーザー予告

■ 不朽の名作を新たに実写化

 小説家メアリー・シェリーによる不朽の名作を実写映画化した本作は、天才だが苦悩に満ちた科学者ヴィクター・フランケンシュタイン博士(演:オスカー・アイザック)が、恐ろしい実験によってある怪物(演:ジェイコブ・エロルディ)に命を吹き込む――生と死、人間であることの意味や愛を渇望する心、そして理解を求めることの意義を問いかける壮大なドラマ。

 監督は「この映画は、私が幼い頃から作りたいと願ってきた、とても個人的な作品です。息子として、そして父として世界の中で自分の居場所を理解しようとした経験を込めました。ここにいられることを本当に幸せに思いますし、支えてくださったすべての方々に心から感謝します」とあいさつした。

 『シェイプ・オブ・ウォーター』以来のアカデミー賞受賞も期待される本作を完成させた心境については、「映画を送り出した今は“産後うつ”のような気持ちです。長く待ち望んだ子どもを学校に送り出し、その帰りを待っているような感覚です。皆さんとこの映画を共有できたことを誇りに思います。そして今、世界で何が起きているのかを理解することが、私たちにとって大切だと思っています」と語った。

■小島秀夫氏「さすがマイ・フレンド」と絶賛

 原作が古典的名作であるため、映画・舞台・ドラマ・アニメなど数多くの映像化や派生作品が存在する『フランケンシュタイン』。小島氏は「いっぱい観てきましたけど、こんなに美しくて、ちょっと変なんですけど、すごく優しい映画でした。デル・トロ監督の前作『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』(2022年)もそうでしたけど、ちょっとびっくりしました」とコメント。

 さらに「科学者ヴィクター・フランケンシュタインと彼が生み出した“怪物”の関係を父と子に昇華したのは、ほかの映画にはなく驚きました。第1章と第2章で視点が変わる構成も素晴らしい。これは『フランケンシュタイン』版『羅生門』(黒澤明監督)と呼びたいのですが、二者の視点を通すことで、原作を読んでいても見えなかったものが見えてきた。さすがデル・トロ、マイフレンドって感じです」と絶賛した。

■“怪物”のデザインに込めた意図

 小島氏は「博士が創り出した“モンスター”が、なぜ“つぎはぎだらけの怪物”ではなく“美しい”のか」と質問。これに対しデル・トロ監督は「原作小説に“つぎはぎの縫い目”という描写はなく、それは1931年の映画版によるイメージです」と前置きした上で、こう説明した。

 「交通事故で救急外来に運ばれ、縫い合わされたような見た目を想像するかもしれませんが、私が描いたのは違います。ヴィクターは天才科学者であると同時に“芸術家”だったのではないか。素材を選ぶように各部位を組み合わせながらも縫い跡ひとつなく、まるで解剖学研究のために作られた精緻な蝋細工のように美しい存在を作り上げたのではないか、と考えました。

 20年もの歳月をかけて計画していたのなら、目指すのは“芸術作品”であるはず。そこで頭部のデザインに骨相学の図版を取り入れました。骨相学のマニュアルにある線をもとに、アール・デコや未来派を思わせる滑らかなラインを描き、死体のつぎはぎではなく、自動車のボディのように美しく新たに創造された存在として表現しました。博士は狂気の科学者ではなく、死に怒りを抱きつつも優れた科学者。だからこそデザインもまた美しく、新しい命を感じさせるものでなければならなかったのです」

■観客へのメッセージ

 最後に小島氏は「彼の『フランケンシュタイン』は普通のモンスター映画ではありません。観終わって帰るとき、皆さんも“自分もモンスターなのではないか”と、考えさせられるでしょう。そして10年、20年経っても何回も反すうするような映画になると思います。ジェイコブ・エロルディさんの演技も素晴らしく、フィギュアがあれば欲しいです」と語った。

 デル・トロ監督は「近々ジェイコブのフィギュアは発売されると思います」と応じ、さらに「これまでで最も恐ろしい『フランケンシュタイン』を生み出した人物、伊藤潤二さんがいらっしゃいます」と客席にいた伊藤氏を紹介。伊藤氏は1994年に『フランケンシュタイン』を漫画化し、その怪物像は不気味で恐怖感に満ちたビジュアルで海外からも高く評価されている。

 そして監督は「今作は、現代を生きるなかで“受け入れる”ということがいかに稀かを描いています。互いに和解できないはずの二者が会話を通じて理解し合えたことは、素晴らしい解放をもたらすのです。小島さん、長年の友人として、良い時も悪い時も支え合ってくれてありがとう。私にとって本当に意味のある映画になりました」と締めくくった。

 Netflix映画『フランケンシュタイン』は、一部劇場にて10月24日より公開。11月7日よりNetflixにて世界独占配信。

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