バズリ中 ORANGE RANGEインタビュー
エンタメNEWS2025年8月7日7:30 AM
ORANGE RANGE・HIROKI 写真:LEI FILMWORKS
TikTokをきっかけに「イケナイ太陽」などの過去曲が再注目され、『THE FIRST TAKE』出演や映画主題歌への抜てきも話題を呼ぶORANGE RANGE。今年は15年ぶりに古巣・ソニーミュージックに復帰し、いよいよ“再始動”ともいえる新たなフェーズに突入した。そんな中でもバンドが一貫して大切にしているのは、“すっぴん”でいること。取り繕わず、飾らず、自然体のままで音楽を鳴らし続ける──。本インタビューでは、ボーカルのHIROKIとベースのYOHが登場。楽曲制作の裏側から、SNSでの“バズり”へのリアクション、メンバーとの関係性まで、20年以上変わらないスタンスを楽しく語ってくれた。
【動画】“致死量の平成”が詰め込まれていると話題の「イケナイ太陽」MV
■もし今10代、20代だったらノリノリでTikTokやってた?
――ORANGE RANGEの過去の楽曲がSNSで再注目されていますよね。今の状況、どう感じてますか?
HIROKI 素直にうれしいです。昔はCD屋さんまで行かないと聴けなかったような曲が、今はネット上で届く。10年、20年前には考えられなかったことだし、今の時代ならではの音楽の広がり方を感じてます。
――「イケナイ太陽」は18年前の曲ですもんね。
HIROKI そんな昔の曲にまたスポットが当たるっていうのは、配信とかSNSのおかげ。音楽が手軽に聴けるようになった時代のいい面だなと思います。
――YOHさんはどう見てますか?
YOH ライブではこれまでの曲も変わらずやってるし、ずっと盛り上がってる。自分たちの感覚では色あせてないんですよ。だから「懐かしい」って言われても、あんまりピンとこなくて(笑)。
――ずっとライブを続けているバンドですもんね。
YOH 今までどおり現場でやってるっていう感覚が強いので、急に何かに振り回されることもないんです。ただ、今こうして注目してもらえるのは、来年のアニバーサリーに向けた良い流れになってるなと思ってます。
――TikTokはご自身でも見たりするんですか?
HIROKI 「踊るSNS」ってイメージが強くて、自分とはちょっと距離あるSNSかなと思ってたんです。でも今では、チームでTikTokも動かしていて、RYOが特に頑張ってくれてます(笑)。
――自分たちのことを知らない若い子たちが曲で盛り上がってるのを見ると、変な感じはないですか?
YOH うーん、でも全然悪い気はしないですよ。むしろ「ありがとう」って思う。面白がってくれてることが純粋にうれしいですね。
――もし今10代、20代だったら、ノリノリでTikTokやってたと思います?
HIROKI どうかなぁ…(笑)。でも、若いノリでやってたかもしれないですね。RYOしか踊れないけど(笑)。あいつは絵になりますからね。
――「イケナイ太陽」の新MVも、“致死量の平成”が詰め込まれてるってSNSで話題になってますよね。
HIROKI 観てくれた人のコメントがバズったんですよね。糸井重里さんみたいなコピーが出てきて、すごいなって(笑)。
――撮影は楽しかったですか?
HIROKI めちゃくちゃ盛りだくさんでした。自分たちも「こういう番組あったなー」とか言いながら、懐かしみつつやってました。最初は“ネタもの”として盛り上がるだろうなって想定だったんだけど、公開後のコメントを見てると「泣いた」「感動した」っていう声もあって。そっち行くの!?って、ちょっとびっくりしましたね。
YOH 僕は監督さんのアイデアを、なるべく忠実に再現しようっていう気持ちでやってました。衣装も今は絶対身につけないなってものばかりで不安もありましたが(笑)。でも、その世界観にちゃんと入り込めたと思います。
――普段クールなYOHさんが、思い切って振り切ってるのも新鮮でした。
YOH ギャップがあるほうが面白いですからね…!
HIROKI 「やらなさそうな人がやる」って、やっぱ一番ウケるんですよ。
■ORANGE RANGEにとっての「花」
――そして「イケナイ太陽」は『THE FIRST TAKE』でも披露されました。
HIROKI 正直、『THE FIRST TAKE』をちょっと疑ってました(笑)。何テイクか撮って選ぶんじゃないの?って。でもほんとに一発で終わったんで、「うわ、マジか…」って。逆に心に余裕を持って臨めたけど、もし次に呼ばれたらガチガチになりそう。
YOH 考えすぎても良くないので、細かくは意識しないようにしてました。ライブで何百回もやってきた曲だし、自然に出てくる感覚でやりましたね。
――ライブを重ねる中で、曲って変わっていくんですか?
YOH 全然変わります。音源はそのタイミングのバージョンを録って完成だけど、ライブになるとその場の呼吸で、引いたり足したりしてアレンジしていく。ボーカルのあおりもそうだし、どんどん変化していきますね。
――当時のレコーディングって、今と比べてどんな感じでしたか?
HIROKI 歌もポイントごとに録ることが多くて、1曲丸ごとって感じじゃなかったんで、あのときの“艶感”みたいなのは、今じゃ再現できないと思います。特に「花」なんかは、ほんとに難しい。
――その「花」も『THE FIRST TAKE』で公開されましたね。
HIROKI そうなんです。「イケナイ太陽」がふざけたテンションだったぶん、こっちは気合い入れてしっかりやらないと、って思ってました。おふさげと真面目のバランスを取らないと、ただのふざけたバンドになっちゃうんで(笑)。
――ライブでも、そういう切り替えは意識してますか?
HIROKI ライブの中でもそういう緩急のバランスは大事にしてます。
――「花」はORANGE RANGEにとって、やはり特別な曲ですか?
HIROKI 地方に行っても、おじいちゃんおばあちゃんまで「この曲だけは知ってるよ」って言ってくれたりしますし。曲の持つ力を感じる場面が本当に多いです。
■ソニーに復帰「これまでの経験が全部つながって今がある」
――そして新曲「トワノヒカリ」も映画『ストロベリームーン 余命半年の恋』の主題歌に起用されることが発表されました。今回の制作は、今までとやり方が違ったそうですね。
HIROKI 今回は全員で映画をちゃんと観たあとに、イチから作り始めたんです。そういうのって初めてで。いつもは同時進行だったり、すでにある曲をもとに進めることが多かったから、完成した映像を観てから曲を作るっていうのは新鮮でした。
――よりイメージの共有ができた?
HIROKI できたと思います。でもやっぱり感じ方はメンバーそれぞれなんで、どのシーンをどう受け取ったかとか、そういうすり合わせも大事でしたね。
YOH 今回はコライトの形でシライシ紗トリさんが入ってくれていて。デビュー当時にお世話になっていた方なんですけど、久しぶりに一緒にできてうれしかったです。バンドもソニーに戻ったタイミングだったし、「また一緒にやろう」っていう話になって、そこからはバンド内でもかなり細かく話し合いながら進めました。
――ボーカルチームとして、歌詞制作はどんなふうに進めていきましたか?
HIROKI 映像の中にある葛藤とか落ち込みとか、そういう感情も受け取りながら、最終的には、前向きなメッセージで終わらせたかったんです。だから全体のバランスを意識して、どこにどう強弱つけるか、組み立てていった感じです。ラストはRYOがラップで締める流れになってて、それも含めてみんなで構成を考えました。
――メンバー同士で「今どんな歌詞書いてんの?」みたいなやりとりもあるんですか?
HIROKI 今回はけっこうありました。1曲通してちゃんとメッセージが伝わるようにしたかったし、全体のバランスを見る意味でも、お互いの歌詞をチェックし合ってましたね。ここ数年は、ずっと自分たちだけで作って完結させてきたんですけど、今回は外からのアドバイスもあって、それもすごくありがたかったです。
――改めて、ソニーミュージックに戻ってきたことでの変化ってありますか?
HIROKI ありましたね。たくさんの人の意見を聞けるって、すごく大事なことなんだなって。自分たちで会社をやったりもして、自分たちのやり方が足りてないとは思ってなかったけど、「そういう考え方もあるんだな」って、素直に受け入れられることが多いですね。
――今このタイミングって、自分たちにとってすごくいい流れになってると感じますか?
HIROKI そう思います。これまでの経験が全部つながって、今があるなって。無駄なことはひとつもなかったなって思えるし、この流れは素直にうれしいです。
YOH デビュー当時、僕ら世に認知されるのがめちゃくちゃ早かったじゃないですか。だからステップを踏まずに階段を駆け上がっちゃった感じもあって。だから自分たちで会社を立ち上げて、もう一回足場を作り直してきたんです。そのうえで、またソニーミュージックとタッグ組めたのは、すごく意味があると思ってます。
――そして、新曲の「裸足のチェッコリー」も、すごく“らしい”一曲でした。
HIROKI あれはもう、割り切って“ザ・ORANGE RANGE”でいこうって決めてました。テンション的には「上海ハニー」っぽいノリで。3人の掛け合いとか、みんなで歌えるようなところだったり、聴いて楽しい、ライブで楽しいっていうのを意識して作りました。
――こういう方向性でいこう、ってなったら一気にスイッチ入るんですか?
HIROKI いざ決まったら、あとはもう全力でそのモードに入る感じです。曲に乗っかっていく感じは、昔から変わらないですね。
■「美化しすぎない」こと ORANGE RANGEの“ゆるさ”の魅力
――ORANGE RANGEって、いい意味での“ゆるさ”も魅力だと思います。スイッチの入れ方とか、バランスって意識してます?
YOH たぶんチーム内で、それぞれのスイッチが入るツボみたいなのがあるんですよ。ライブとかもそうだけど、大事なところだけしっかり押さえる、みたいな。ずっと気張ってたら持たないから、力を抜けるときは抜いておいた方が、結果的にパフォーマンスも拡がるというか。たとえば、ピッチャーが投げる瞬間だけ力入れる、バッター打つ瞬間だけグッとエネルギーを集中する、みたいな感じ。あとは、あんまり美化しすぎないことも大事だと思ってて。
――美化しすぎない?
YOH かっこよく見せよう、キラキラしようって、みんなやりがちだけど、それってある意味“賞味期限”があるなと思ってて。若いうちはいいけど、ずっとそれでやってくのって難しい。だからこそ、背伸びしすぎない。なんなら時折、実際よりちょっとカッコ悪いところも見せながら続けていくほうが自分たちらしいし、結果的に長く愛されるんじゃないかって。
HIROKI うん、それはほんとに思います。最初から“すっぴん”でいる方が、あとが楽なんですよ。たとえば初対面の合コンでメイクが濃かったら、ずっとそのクオリティでいなきゃいけないじゃないですか(笑)。だったら最初からすっぴんでいったほうがいいなって。
――すっぴんのほうが、長く愛される…名言です。
HIROKI あとはやっぱりバンドだから、それぞれの得意なところを活かして、お互いに支え合うっていうのも大事なのかな。若いときは「全部自分でなんとかしなきゃ」って思ってたけど、今は「ここはあいつに任せたほうがいいな」って自然に判断できるようになったし、その分、気持ちも楽になったなって思いますね。
――今後はORANGE RANGEをどうしていきたいと思っていますか?
HIROKI 僕らって、もともと「こうなりたい!」とか目標を立てて進むタイプじゃないんですよ。でも、人が楽しそうにしてるのを見ると、自分たちもうれしくなるし、それがモチベーションにもなる。だから、そういう“楽しい時間”や“場所”をもっと作っていけたらいいなって思ってます。
YOH 今はもう40歳も超えてるし、いろんな経験を経てきた分、「これってちゃんと自分たちのためになってるのか」っていう視点も持つよう心がけてます。そういうところは俺はちゃんと見てるよっていう。誰かに利用されるんじゃなくて、自分たちでちゃんと選んで動く。HIROKIが言ったような部分は理想でありマストな要素ですが、自分の役割をちゃんと果たそうと思ってます。
――まさに、それぞれの得意な部分ですね。
HIROKI ですね。そういうところはYOHに任せてます(笑)。
YOH はい、しっかり見てますよ。
【プロフィール】
YAMATO(ボーカル)、HIROKI(ボーカル)、RYO(ボーカル)、YOH(ベース)、NAOTO(ギター)による沖縄県出身のバンド。2001年に結成され、2003年にシングル「キリキリマイ」でメジャーデビュー。その後は「上海ハニー」「ロコローション」などヒットソングを次々と発表し、「花」は映画『いま、会いにゆきます』の主題歌として大ヒットを記録した。ライブ活動と作品リリースを精力的に続け、2025年は5月21日に配信シングル「マジで世界変えちゃう5秒前」、7月16日にシングル「裸足のチェッコリー」をリリース。10月17日に公開となる映画『ストロベリームーン 余命半年の恋』の主題歌「トワノヒカリ」を担当することも決まっている。
ORICON NEWS(提供:オリコン)
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