熱い食べ物が苦手な人を意味する「猫舌」。その由来は?猫舌になる原因と改善法とは。

タレメREPORT2022年07月12日更新

猫舌の由来は?

「猫舌」由来と原因を探るとニャンとも意外なことが!

熱い食べ物や飲み物が苦手な人を意味する「猫舌」。
なぜなってしまうのか?果たして治す方法はあるのか?
その言葉の由来や、猫舌になる原因、改善法についてご紹介します。

「猫舌」という言葉の由来は?語源はどこにあるのか。

熱い食べ物や飲み物が苦手な人が「自分は猫舌でして」などと言うことがあります。
実際のところ、猫を飼っている人は、猫がかなりの猫舌なのをご存知なのではないでしょうか。

諸説あるものの、猫舌という言葉は江戸時代から使われていたと言われています。
江戸時代には、すでに現代と同じようにペットとして、またネズミ捕獲のために屋内で飼育され、人間と生活を共にしていたようです。
つまり、人間から食べ物をもらっていたことになりますね。

「猫舌」は、もちろん、猫が熱い食べ物を食べられないことに由来する言葉です。
当時の人々も、猫が熱い食べ物に苦戦する様子を微笑ましく見ていたのかもしれませんね。

英語で「猫舌=Cat tongue」と言っても通じない?

こうした経緯から、日本独自の表現であるため、例えば英語で「Cat tongue(キャット・タン)」と言っても通じないようです。

試しに、Google翻訳に「猫舌」と入れてみたら「Cat tongue」と訳されましたが、これは文字通り「猫の舌」としか通じないようで、別の翻訳として「unable to take hot food(温かい食べ物が食べられない)」が示されました。
英語では「unable to take hot food」と言わないと、「猫舌」の意図が伝わらないことが分かりますね。

動物はみんな猫舌?

熱い食べ物が苦手なのは、猫に限ったことではありません。
犬でも、馬でも、牛でも、動物はみな猫舌と言ってよいでしょう。
むしろ、食べ物を加熱してから口に入れるのは人間くらいのもので、自然界の他の動物にそんな習慣はありません。

猫は、自然界においては捕獲した獲物を食べる肉食動物という存在です。自然界では、捕獲した獲物より温度の高い食べ物はありませんから、そもそも熱いものを食べられる必要性自体がなかったのです。

さらには、口の中や周囲をやけどしてしまうと、食事ができなくなり、生命の危険に直結するため、熱いものに対して警戒する必要があります。
実際、言葉の上では、猫舌と言いますが、実際には猫は食べ物の熱さを舌ではなく鼻で感知しているそうです。口に入れる前に判断しているのですね。

ですから、結果として野生動物は熱い食べ物が苦手、ということになります。
人間は加熱調理をするので、熱いものを食べられるように進化したのですね。

なぜ「犬舌」ではなく「猫舌」なのか?

では、なぜ「犬舌」でも「馬舌」でもなく「猫舌」になったのでしょうか。
それは前述の通り、人間と近い距離で生活を共にしていたことに原因があると考えられます。
そのため、猫舌に限らず、猫にまつわる慣用句や熟語が数多く生まれました。

家の中で飼育されていたため、食事の様子なども近い距離で見ることができ、与えられた食べ物を冷ましてから食べる様子から、とりわけ猫は熱い食べ物が苦手という印象がついたのでしょう。
それが、猫と親密な間柄の人々の間で広まり、慣用句として定借したのではないでしょうか。

そう考えると、言葉一つにも、猫と人間の身近な間柄が感じられますね。

猫も温かい食べ物を食べられる?食べさせてよい?

近ごろの飼い猫の中には、子猫の頃から暖かい猫用ミルクなどを与えられたりしているので、温かい食事に適応している猫もいるようです。
また、温かい食事のほうをより好む、という猫もいるようです。
この原因として、温かいほうが、食べ物の匂いが強く出るため、食欲が進むのではないかと考えられています。
猫の食欲が進まないとき、餌を温めるよう獣医師から助言を受けることもあるとか。

あまり熱すぎるのは考えものですが、猫が食べてくれないとき、食が進まないときなどに試してみてもよいかもしれませんね。

人間が「猫舌」になる原因は?

熱い食べ物を食べられるように進化したはずの人間に猫舌の人がいるのはなぜでしょうか。
かつては、舌の厚さや神経(温点)の数の個人差で猫舌の人がいる、とも考えられていたようです。
しかし、近年の研究では舌の厚さや神経の数に個人差はほとんどないとされており、とすると、猫舌も生まれつきのものではないことになります。
では、猫舌の人と熱いものを平気で食べられる人との違いは何なのでしょうか。

それは舌先を使って食べているかいないか、です。
舌の先端が、もっとも鋭敏な部分でであり、ここで触れてしまうと熱さを強く感じることになります。
猫舌でない人は、ここを回避するのが巧みと考えられます。

舌の先端を避け、口に含むようにして舌先を守ることで、いわゆる猫舌の人も熱い飲食物にある程度対応できるようになる、と考えられています。

参考:国際基督教大学「猫舌の原因と改善方法」2012

 

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