自閉症8歳”天才画伯”の自己表現
エンタメNEWS2026年2月19日6:50 AM
手や服にも飛び散るほど全力で描くルカくん/@luka_kai_morris さん提供
大きなキャンバスにカラフルな点や線が無秩序に交差する抽象画。その絵を描いているのは、重度の知的障害を伴う自閉症の8歳の少年・ルカくん。休むことなく夢中で描き続ける様子がInstagramで話題になり「こういう才能が生かされる世界であってほしい」「なぜか引き込まれる」と、多くの人の心を奪っている。まだ言葉を話せない彼にとって、描くことは最大の感情表現手段。優秀賞の受賞や個展の開催など、飛躍を続ける彼の裏には、ご家族の手厚いサポートも。ルカくんの母・モリス千賀子さん(@luka_kai_morris)に、その想いを聞いた。
【写真】明るいポップな表現とダークさが同居 ルカくんの受賞作品
■言葉を話せない彼にとって絵を描くことは“自分の気持ちを保つために無くてはならない方法”
――「重度の知的障害を持つ8歳の息子が大きなキャンバスに休むことなく絵を描き続けている」という投稿について、反響を受けてどのような印象でしょうか。印象に残っているコメントなどがあれば教えてください。
「SNSを通して沢山の方々にルカの絵や描く姿を見ていただけたこと、感動していただいていることにとても嬉しい気持ちでいっぱいです。“今凄く辛くて悩んでいて、そんな時、 偶然にルカくんの描く姿の動画を目にして このキャンバスが心に刺さりました、この才能を沢山発信してほしいです。お願いします” というコメントが特に印象に残っています。淀みの無い、ありのままの心で 無我夢中で描いているルカの絵やその姿には、見てくださった方の心を美しく彩り、 癒しやパワーを与える力があることに、心から嬉しく思っております」
――ルカ君が絵を描き始めたのはいつ頃からですか?何かきっかけがあったのでしょうか。
「4歳の夏に突然、カラーペンで絵を描くことに没頭し始めました。それに繋がる目立ったきっかけは思い当たらないのですが、2歳から通所していた療育先や 3歳の時に通園していた療育園先、4歳の春から通い出した幼稚園、そして家の中などで時々ペンやクレヨン、絵の具といったものに触れる機会はありました。ルカの中でそれらを使うことが “僕の気持ちが表現出来る方法”であると気付くことが出来たのでは?と 私たち家族は思っております」
――言葉をまだ話せないとお見受けしていますが、感情表現として絵を描くことが大きな手段になっているのでしょうか。他に見られる“気持ちの表現手段”が何かあれば教えてください。
「“絵を描くこと”はルカにとって真正面に思いを乗せることの出来る、“自分の気持ちを保つために無くてはならない方法”です。その他の“気持ちの表現方法は、少しずつではありますが増えていると感じています。要求方法の手段は「Please(頂戴)という意味のハンドサイン」や「チラシや絵カードの絵を見せて伝えてくる」などです。昨年から「指差し」「バイバイ」が出来るようになり、今ではよくしてくれるようになっています。
直近で印象的だったコミュニケーションは、お皿にじゃがいもを乗せ、それをキッチンテーブルに置いてママをじっと見てアピールしてきたことです。その日のディナーにはリクエストにお応えしてルカの大好物であるフライドポテトを作りました」
■4歳から描き続ける“抽象画” 最近では“物の形”にも興味を示すなど変化が
――ルカ君が“絵を描く”姿を観察していて、お母さま自身が感じた変化や気づきはありますか?
「描き始めた頃は、紙にぐるぐると丸やいびつな線を描いていましたが、次第に両手にペンを持ち、ペンや筆で弾き描きをするスタイルへと変化していきました。インクが飛び散り、掃除やペンの買い替えは大変ですが、このルカ独特の描き方が彼のスタイルとして確立されてきているのなら、やめさせるべきではないと思い、サポートを続けています。
4歳から9歳までの作品を見比べると、タッチの変化がよく分かります。ずっと抽象画を描いていますが、最近は「物の形」にも興味を示し、先日は9歳になってすぐに初めてピザを描きました。それでもその後はまた抽象画を描いており、これからどんな作品を生み出していくのだろうと、とても楽しみにしています。
また、明るく楽しい時はカラフルに、怒りや高ぶる気持ちの時は赤と黒を多く使うなど、感情が色に表れるのも印象的です。昨年は大阪・高槻阪急スクエアで開催した初個展「Luka Kai Morris〜色は僕の声〜展」では、4歳から8歳までの作品を展示しました」
――21世紀アートボーダレス展 Relational コンテンポラリー部門で優秀賞を受賞されるなど、展覧会や受賞を通してルカ君本人にどんな変化や影響がありましたか?また、お母さまとしての心境はいかがですか?
「ルカの絵が評価され優秀賞をいただけたことは、言葉に出来ないほど嬉しい気持ちでいっぱいです。ルカの絵が国立新美術館という大きな美術館に展示されたことだけでもとても嬉しい中、このような素晴らしい賞を受賞した息子のルカを心から誇りに思っております。この出来事は、ルカの才能に数年前から目をかけてくださっておりました芸術指導講師でもある抽象画家の玉木治栄先生に、ルカのために母である私自身が背中を押されたことがこの始まりです。
画伯であるルカ本人は、賞を取ったことに対して特に変化はありません(笑)。 けれど、おめでとうと言って声を掛けながら表彰状を見せた時に笑みを浮かべたので、ルカ自身に嬉しいことがあったことは理解していると思います。受賞式に本人も無事参加できたのですが、式以外の時間は美術館のロビーの片隅でベビーカーに乗って色鉛筆とスケッチブックを持ってずっとお絵描きをして過ごしていました」
――「自閉症」と診断されているルカ君の育児について、ご家庭や母親として心配や悩みを感じていることはありますか。
「やはり大きな心配はこの先のルカの自立面です。ルカはまだ身の回りの色々なことに介助が必要な生活を送っています。こちらの言っている言葉の意味は英語でも日本語でもだいぶん理解を示しており、彼なりのスピードで成長は見られるものの、まだ自ら言葉を話してのコミュニケーションは出来ません。ですが昨年は2度、一瞬ハッキリと単語をいう場面があったので (“スパゲッティー”と言いました!)、諦めずに希望を持ってルカの成長のために一緒に頑張ってこれからも歩みたいと思っております」
■健康診断で病変が見つかった母 「大切な家族を守るためにまず“自分自身を大切に“」
――そうした状況や困難に対して、どのように向き合ったり工夫したりされていますか。
「私たち親は年老いていくので いつまでもそばで支えてあげることは出来ません。なので障害を抱えるルカが将来に出来るだけ生きていきやすい環境で生きていけるように、支援学校高等部卒業後の進路はどのようなものがあるかや、可能かのリサーチと、今はとにかくルカの成長を出来る限りサポートしています。
ルカ、そしてルカを育てている私達の周りは、 ルカのことをよく知っていただいている学校や療育先の先生、相談支援員さん、お友達に囲まれた状況であります。 そんな恵まれた状況下ですので、もし不安や悩みが募っている時は、すぐに相談させていただくようにしております。やはり、私達家族の状況を理解していただいている方がそばにいるというのは、何かあった時のためにもとても心強いです」
――親として支える中で、大切にしていることや心がけていることは何でしょうか。
「何よりもまず、家族を守るために私たち親が大きな病気やケガをしないことを一番に思っています。そう強く意識するようになったのは、ルカの妹が生まれた翌年、健康診断で私に病変が見つかり手術をしたことがきっかけでした。あの時は大きな不安と恐怖を抱えましたが、幸い早期発見で昨年完治との診断を受けました。
当時は自分自身にも精神的に無理を重ねていたと感じていますが、今は栄養のある食事や適度な運動、ドラマや映画を観る時間を作ったりなど好きな時間をつくることを心がけ、家族を守るために自分を大切にしています。ルカは睡眠障害もあるため、その影響で寝不足になる日もありますが、そんな時も無理に全てをきっちりしようとせず、できることを落ち着いて行い、心身を保つようにしています」
――今後、ルカ君にはどんな体験や挑戦をしてほしいですか?
「これからも興味を持ったものにはどんどん挑戦していって欲しいです。ルカは今、 絵を描くことが大好きで毎日のように描いていますが、ある日突然描かなくなるのか、それともずっと描き続けていくのかは分かりません。ですが、本人が描きたいと思う間は、出来る限りサポートをしてあげたいと思っております」
ORICON NEWS(提供:オリコン)
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