身長110cm車椅子女性 夢を叶え母に
エンタメNEWS2025年10月10日8:00 AM
お子さんにミルクをあげている内藤沙月さん
「子どもを産むべきではない」そう言われたのは、先天性の骨形成不全症と向き合いながら、車椅子で働き、結婚し、そして出産を経て、新たな命を迎えた内藤沙月さん(@naitosatsuki)。出産を報告した動画では、「本当におめでたい」「なんかすごく嬉しい」「母は強し」「人間の身体ってすごい!」と、祝福の声が相次いだ。4年前の死産や、心ない誹謗中傷。いくつもの壁や不安にぶつかっても、前向きに人生を切り拓いてきた。そんな彼女が貫いた「自分らしく命を迎える」という覚悟。容易ではなかった妊娠・出産の道のりや、自身の病気、そして大切にしてきた考え方について話を聞いた。
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■4年前に死産を経験、心無い言葉に「深く悲しみ傷ついた」
――出産された報告動画にはたくさんのコメントが寄せられていました。様々な声があったかと思いますが、あらためて今どんなお気持ちですか?
「まずは素直に嬉しいです。出産報告の動画を出す前は、叩かれたらどうしようや心無いコメントが来たらどうしようと不安や怖さがありました。しかし投稿してみると大多数が祝福のコメントで、本当に嬉しかったです。私の動画が骨形成不全症や難病の方々に希望の光になっていれば幸いです。ちなみに前回の妊娠の教訓を生かし(妊娠報告時にアンチコメントが多く、結果として死産も経験)、今回は妊娠報告せず、無事に出産を終えてから時差投稿で報告しました」
――妊娠や出産の過程では、やはり不安や大変なこともあったと思います。特に印象に残っている「苦労」や「壁」、それをどう乗り越えられたのかを教えてください。
「妊娠初期から出産まで、つわりが非常に辛く、何を食べても吐いてしまい体が思うように動きませんでした。出産直前には肺も圧迫され、息をするのも苦しい日々でした。お腹が大きくなると坂道や平坦な道でも車椅子を漕ぐのが大変で、健診の際は夫に押してもらい助かりました。骨形成不全症の私は妊娠で骨がさらに脆くなり、骨折に注意して生活していました。結果、骨折はしませんでしたが、前歯が欠けてしまいました(笑)」
――以前、死産を経験され、当時の妊娠報告動画には「子を生むべきではない」というコメントもあったそうですね。当時のご心境と、そこから前を向けたきっかけを教えてください。
「「子どもを産むべきではない」というコメントを受けたとき、なぜ第三者にそんなことを言われるのか強い疑問と悲しみを感じました。もちろん深く傷つき、その後の死産もとても辛い出来事でした。4年前のことで、もし生きていれば今年4歳になっていたはずです。その間、友人の子どもやSNSの赤ちゃん投稿を見るだけで苦しく感じましたが、今回娘を授かったと知った瞬間、心が晴れて前を向けました」
■「遺伝していないとわかったときは正直『良かった』と思いました」
――内藤さんが生まれたとき、先生から「将来赤ちゃんは産めません」と言われていたとInstagramにありました。旦那さんやご家族、病院関係者に対する感謝の言葉などもありましたが、妊娠・出産を乗り越えるうえで特にありがたく感じたサポートは何でしたか?
「夫はつわりで苦しむ私のために家事全般をしてくれたり、妊婦健診には毎回仕事を休んで付き添ってくれました。母と妹はリスクの高い骨形成不全症の出産について主治医の説明を一緒に聞いてくれました。病院関係者の皆様は、通常の妊婦さんよりも数倍のリスクがある私を受け入れてくれたことへの感謝を伝えたいです。身体の大きさの関係で臨月まで妊娠を続けられず早めの出産となりましたが、その後NICUで娘の成長を見守っていただき、本当にありがとうございました」
――病院や医療スタッフの対応で、感謝していることや印象に残っていることはありますか?
「私は骨形成不全症に加えて側湾症もあり、帝王切開の麻酔は通常なら全身麻酔ですが、脊椎麻酔に踏み切ってくださいました。そのおかげで手術中に無事に産声を聞くことができました。主治医から『内藤さんには赤ちゃんの産声を聞いてほしい』という要望があってのことで、実現のために4年前にかかった病院から私の検査結果を取り寄せるなど、非常に献身的に動いてくださいました」
――先天性骨形成不全はお子さんに2分の1の確率で遺伝する可能性があると聞きました。娘さんの検診や検査の結果を聞いたときの気持ちを教えてください。
「母は妊娠中のエコーで私の骨に異常があると気づきましたが、一方で私のお腹の中の赤ちゃんは週数相当の大きさで育ち、骨の曲がりもなく、2度のスクリーニング検査で異常なしと判断されていたので、健康な子が生まれるだろうと思っていました。実際に出産するまでは100%ではありませんでしたが、遺伝していないとわかったときは正直『良かった』と思いました。とはいえ、もし骨形成不全症や難病だった場合に備え、病院の近くに引っ越すなどしっかりと準備をして出産を迎えました」
■周りと何一つ変わらず愛し育てる「頼もしいママでいたい」
――育児の大変さを感じる瞬間はありますか? どのような場面で感じますか?
「これは私に限らず全ての家庭に言えることとは思いますが、夜中に一人で起きてきて眠気と戦いながらミルクをあげるので寝不足の日々です。それでも上手くゲップをさせられた時は気持ちいいです(笑)」
――娘さんにとってどんな存在でありたいですか?
「頼もしいママでいたいですね。娘が大きくなった時「なんだ、私のママは車椅子に乗っているけど周りのママと何一つ変わらず私を愛して育ててくれた」そう思ってもらえたらこれ以上の喜びはありません」
――内藤さんが「先天性骨形成不全症」と向き合うなかで、これまで大事にされてきた考え方や支えになってきたものは何ですか?
「正直なところ、私も骨形成不全症で悩んだり苦しい思いをしてきました。しかしこの病気は先天性で一生治らないため、クヨクヨ悩んでも何も変わらないと気づきました。そこから何事も前向きに捉えられるようになり、車椅子に乗っていることも可哀想ではなく不便なだけと割り切れるようになりました。ちなみに、小学生の頃に立てた「皆と同じように働く、車の免許を持つ、一人暮らしをする、結婚する、出産する」という5つの目標は、今回の出産で全て叶えることができ、本当に感慨深いです」
――キャバ嬢として働いたり、車椅子生活のなかでも様々なことに挑戦されています。難病や障がいと向き合いながらも「夢を叶えたい」「幸せを諦めたくない」と思っている方にとって、内藤さんの発信は大きな希望だと思います。同じように悩みを抱えている方へ、勇気づける言葉や伝えたいメッセージがあれば、お願いします。
「私の性格上やりたいと思ったことは何事もどうしてもやらないと気が済まないんです(笑)。キャバクラも車椅子を理由に断られ続けて4年かけてようやく見つけることができました。車椅子に乗っているから、とか病気があるから、という理由で諦めるのが嫌だったんです。「◯◯だから自分にはできない」と諦めるのではなく、どうすれば実現できるか諦めずに常に方法を探し続けることが大事だと思います」
ORICON NEWS(提供:オリコン)
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