髭男、FC限定ワンマンライブレポ

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エンタメNEWS2025年4月30日7:00 AM

ファンクラブ限定ワンマンライブ『Official髭男dism one-man live 2025 -UNOFFICIAL』の模様 Photo by TAKAHIRO TAKINAMI

 ロックバンド・Official髭男dismが24日、神奈川・KT Zepp Yokohamaにてファンクラブ限定ライブ『Official髭男dism one-man live 2025 -UNOFFICIAL』を開催した。

【ライブ画像】ファン垂涎のセトリ&高い演奏力で魅了した髭男のメンバーたち

 「ロケットえんぴつみたいに、昔の曲がセットリストから押し出されていることがヒゲダンの社会問題になっているんです(笑)。どの曲にも、聴いた人にとってのエピソードや思い入れがあると思う。新しい曲ばかりやって、昔の曲がなかったことになるのはつまらない」と藤原聡(ボーカル&ピアノ)はMCで語った。昨年に続き2回目となるファンクラブ限定ライブ『UNOFFICIAL』。この発言のとおり、懐かしのナンバーをたっぷり組み込んだこの日だけの特別なセットリストを、ライブハウスで体験するという大変貴重な一夜となった。ここでは、当日のレポートをお届けしたい。

■ゴージャスなサポートによる上質なバンドサウンド メンバーのプレイヤー気質を浮き彫りにした初期ナンバー

 最新作『Rejoice』の大規模ツアーを成功させ、初のスタジアムライブを3週間後に控えているタイミングで、バンドにとって戦士の休息的な意味合いもあったのだろうか、全19曲のうち8曲は、メジャー1stアルバム以前のナンバーで構成されていた。オープニングは「Amazing」。パーカッション、キーボード、管楽器、コーラスといった総勢10名のサポートをバックにしたゴージャスなサウンドで、いきなり髭男ならではの世界観で会場を染めていく。

 3曲目ではサポートメンバーが一旦下がり、2016年発表の「コーヒーとシロップ」を披露。起伏のあるボーカルラインをソリッドな演奏がドラマチックに盛り上げていく。この曲を皮切りに「Tell Me Baby」「55」などの初期の楽曲が会場を熱くした。楢崎誠(※崎=たつさき/ベース)から始まり、小笹大輔(ギター)、松浦匡希(ドラム)の歌声が聴ける「旅は道連れ」もひとつの山場となっていたが、メンバーが高度なコーラスワークも担当できるぐらいに歌がうまいこともバンドの強みだろう。

 加えて、初期曲の演奏からは生粋のプレイヤー気質を生々しく感じることもできた。特に藤原のピアノが肝になっている曲が多く、「コーヒーとシロップ」「犬かキャットか死ぬまで喧嘩しよう!」などの躍動感のあるフレーズは、曲全体の雰囲気を決定づけていた。松浦は重心の低い安定したリズムを刻み、楢崎のベースラインはコード感を先導する重要な鍵となっていた。小笹は、何本ものギターを使い分け、器用で多彩なフレーズで楽曲を引き締める。「ビンテージ」でのスライドプレイ「Bedroom Talk」でのアームを使ったジャジーなオブリなど、演奏に引き込まれる場面が何回も登場した。それぞれの力量が高いことに加えて、何よりも楽曲ファーストでプレイしていることが伝わってきて、まったく隙がない。

 さらにコーラス3人を含む豪華サポート陣により、立体的で緻密なアレンジが展開されていくので、これ以上ないほどに上質なバンドサウンドを堪能できた。「犬かキャットか死ぬまで喧嘩しよう!」「日曜日のラブレター」「Rolling」という、インディー時代の名作3連発で本編は大円団へ。観客も一体となって、腕を大きく振り、歌い上げ、クライマックスを迎えた。

■アンコールではオーディエンスからのリクエストに応えて2曲を追加演奏

 アンコールは、ライブ初披露となった最新曲「50%」からスタート。この曲も今後のステージに欠かせないナンバーとなりそうな盛り上がりだった。そのあとは、まさかのその場でオーディエンスにリクエストを募るという特別コーナーへ。今回、2階席は親子連れの観客が多かったのだが、大声で希望曲を叫んでいた子どもたちが印象的だった。ステージ中央に全員が集まり短いミーティングが行われたあと、「Universe」「Stand By You」の2曲を演奏。名曲だらけのバンドであるが、突然決まったこの2曲もパーフェクトなパフォーマンスで魅了してくれた。

 ラストは、2015年のデビューミニアルバムに収録された「SWEET TWEET」。躍動するロックサウンドの中を開放感あふれる歌声が走り抜ける絶品のナンバーで、会場のテンションは最高潮に達した。

 「自分勝手でやりたい放題のセットリストで本当によかったのかな。今日初めてライブに来た人、聴きたい曲を聴けた?」と藤原は心配していたが、最後の曲が終わって、客席の誰もが満足気な表情を浮かべていたことが、その答えと言えるだろう。

 デビューして10年が経ち、音楽好きなら誰もが口ずさめる看板曲をいくつも持つメガヒットバンドに成長した髭男。眩しいヒット曲の影に隠れがちな名曲が多いほど、バンドへの愛情は強固になる。時間枠からハミ出た名曲リストが増えていくのは、売れているバンドの宿命だ。誰にでも自分だけの思い入れの詰まったナンバーがあり、それはメンバーにとっても同じで、広く受け入れられた曲も、そうでなかった曲も、どちらにも最大のエネルギーが注ぎ込まれているはず。藤原は最後にこう言った。「こんなもんでいいかなって世に出した曲は1曲もないから。どんな曲でも君にとってのドラマがあるだろうし、必ずそういう曲もライブでやるので、その時まで待っていてください。でも、来月のスタジアムはマンキンのセットリストでお待ちしています!」。

今日のようなマニアックな選曲もうれしいのだが、多くの人を虜にしたヒットナンバーだらけの選曲は間違いなく感動できる。10周年という節目を超えた髭男の未来につながる一歩、スタジアムライブでの突き抜け方を心から楽しみにしたい。

(文:鈴木伸明)

【『Official髭男dism one-man live 2025 -UNOFFICIAL』セットリスト】
01. Amazing
02. ペンディング・マシーン
03. コーヒーとシロップ
04. バッドフォーミー
05. ビンテージ
06. Bedroom Talk
07. Tell Me Baby
08. 55(武道館ver.)
09. 旅は道連れ
10. HELLO
11. Driver
12. うらみつらみきわみ
13. 犬かキャットかで死ぬまで喧嘩しよう!
14. 日曜日のラブレター
15. Rolling
【アンコール】
16. 50%
17. Universe
18. Stand By You
19. SWEET TWEET

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音楽

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