Ado、涙の東京ドーム公演レポ

#ボーカル

エンタメNEWS2025年11月25日10:00 AM

『Ado DOME TOUR 2025「よだか」』東京ドーム公演の模様 Photo:Viola Kam (V’z Twinkle)

■圧倒的スケールと緻密な音響で魅了する“世界仕様”のライブ空間

 歌い手・Adoが11日、東京ドームで自身初のドーム公演『Ado DOME TOUR 2025「よだか」』を開催した。今年上半期に展開された世界ツアー『Ado WORLD TOUR 2025 “Hibana”』を経ての“凱旋”ともいえる国内ドームツアーの初日。圧巻の歌唱とスケール感ある演出で魅了しながら、自身の心情を赤裸々に語るMCや、気球に乗って宙を舞うサプライズ演出もあり、感情とエンターテインメントが交錯する特別な一夜となった。

【ライブ写真】圧倒的なステージを見せたAdoの東京ドーム公演!気球のシーンも

 Adoは今回、ボックスではなく、LEDの“円柱”の中でパフォーマンス。シルエットだが、その佇(たたず)まいは、世界ツアーを経た自信にあふれているように感じさせる。序盤から代表曲「踊」「唱」などを畳み掛け、レーザーがドームの天井まで覆う演出や、ステージを包み込むような照明は、まさに“世界ツアークオリティ”そのものだった。

 特筆すべきは音響のクオリティだ。Adoのボーカルが音像のど真ん中に配置され、細かなブレスや語尾のニュアンス、ファルセットの抑揚まできめ細かく伝わってくる。自由自在に歌声を操るAdoの表現力が立体的な音像で際立ち、会場の熱を一気に引き上げていく。

 生演奏によるロックサウンドとAdoのシャウトが唸りを上げる「リベリオン」「逆光」、美しさと力強さが同居する「私は最強」や「夜のピエロ」など、楽曲ごとに映像や照明が切り替わり、多彩な演出で観客を魅了する。中盤には未発表の新曲「アイ・アイ・ア」を初披露し、劇場舞台のような世界観と中毒性のあるサウンドで、熱狂はさらに深まっていった。

 そして最大級の盛り上がりを見せたのが、「うっせぇわ」。イントロと同時に大歓声が上がり、「オイ!オイ!」とコールが飛び交う。象徴的な歌詞は大型スクリーンに映し出され、観客も一緒に大合唱。ドーム全体が一体となって声を上げる中、炎とレーザーが飛び交う演出が重なり、最高潮の持ち上がりを見せた。がなり声、低音ボイス、ファルセットのどれを取っても、何度も聴いたあの原曲を超える圧倒的な表現力で響きわたった。

■日本公演らしいカバーと気球に乗ったサプライズ演出

 終盤には、「ずっと歌いたかった歌を歌います。リスペクトを込めて」と前置きし、After the Rainの「彗星列車のベルが鳴る」を披露。日本ツアーならではの選曲で、歌詞の世界に観衆を引き込むような真摯なパフォーマンスを見せた。続くwowaka (ヒトリエ)の「アンノウン・マザーグース」では、モノクロのライティングと映像が交差し、終盤へ向かう助走のように高まる熱を感じさせた。

 MCでは、「よだか」というツアータイトルが宮沢賢治の『よだかの星』から取られたことを明かし、自らを“醜い鳥”に重ねるように語り出した。「世界ツアーが終わってドームが決まって、正直、直前まで焦っていました」「自分がどうして歌い始めたのか、わからなくなってしまった」とここに至るまでの不安を吐露し、「でも、このツアーが終わったら、自分と向き合ってみようと思う。大嫌いなところもいっぱいあるけど、前に進もうって。そう自分の中で決めたんです」と、“自分と向き合う旅”の始まりをファンの前で宣言した。

 「わたしはこれからちゃん自分のことを受け入れられるように進んでいくので、見守っていてくれたらうれしいです」の言葉とともに、本編ラストの「いばら」をパフォーマンス。笑顔を感じさせるようなパフォーマンスのあと、Adoは手を振り本編を終えた。

 アンコールでは、AdoがLEDの円柱から出て、なんと観客の上空を“気球”に乗りながら歌唱するという演出に。「ハハハッ!」「間違えちゃった!」と笑いながら楽しそうに手を振り歌うAdo。手を振ったり、楽しそうな様子がしっかりとうかがえる瞬間に、観客からは驚きと歓声が上がった。

■涙のラストMC「変わることができない私を受け入れたい」

 着地後のMCでは、改めて「自愛」について、涙ながらに語った。「Adoは私のはずなのに、どんどん自分の心とはかけ離れていく。どうやって向き合うべきかわからなくなっていた」と率直な心境を明かし、「でも、変わることができない醜い私を受け入れたい。完璧じゃなくても、このままの醜い自分で生きてみようかなと思った」と観客に静かに告げ、「自分と向き合って、蔑(ないがし)ろにしてきた自分と向き合って、これからは進んでいきます」「そう遠くないうちに、みんなに自分のことをもっと知ってもらえると思います」と決意を語った。

 ラストナンバーは、「私を助けてくれたボカロと歌い手、信じてくれたみなさん、クローゼットで泣いていた自分に向けて」と語って歌った「心という名の不可解」。ステージ上に立ち、凛とした様子で力強く歌い上げた。ペンライトの光が大きく揺れ、万感の思いが広がる中、Adoはうれしそうに何度も大きく手を振りながら舞台をあとにした。

 世界を見てきたAdoが、圧倒的なスキル&パフォーマンスとともに“自分として立つ”ための決意を示したステージ。「そう遠くないうちに」届けられそうなAdoの新たな展開に、ますます期待が高まる。

■セットリスト
M01. 踊
M02. 唱
M03. リベリオン
M04. 逆光
M05. 私は最強
M06. 夜のピエロ
M07. 抜け空
M08. Stay Gold
M09. MAGIC
M10. うっせぇわ
M11. 行方知れず
M12. ルル
M13. アイ・アイ・ア(未発表曲)
M14. ロックスター
M15. 風と私の物語
M16. Chandelier(シーア カバー)
M17. 彗星列車のベルが鳴る(After the Rain カバー)
M18. アンノウン・マザーグース(wowaka<ヒトリエ> カバー)
M19. 0
M20. Episode X
M21. いばら
【アンコール】
En01. 阿修羅ちゃん
En02. きっとコースター
En03. わたしに花束
En04. 心という名の不可解

#ボーカル

関連リンク

【写真】Adoが歌唱する『年末ジャンボ宝くじ』のCMカットがたっぷり!
【写真】シュール!リモート出演するで黒柳徹子とトークするAdo
【写真】アサイーボールに感激!Adoが食レポ
【写真あり】まさかのAdoが『あちこちオードリー』登場
【写真あり】林修氏と対談を行うAdo

カテゴリ

音楽

記事URL

https://www.oricon.co.jp/news/2420495/full/?anc=319

<

Page Top